2015 Fiscal Year Annual Research Report
CRISPRを用いた複雑型ゲノム編集システムの開発とエピゲノム制御への応用
Project/Area Number |
15J04519
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大字 亜沙美 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | CRISPR/Cas9 / ES細胞 / ゲノム編集 / 遺伝子改変マウス / 遺伝子組換えマウス / 雄性生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代型のゲノム編集技術として注目されているCRISPR/Cas9システムを利用すれば、受精卵へsgRNA/CAS9発現プラスミドを注入するだけで簡便に遺伝子改変動物を得ることができる。しかし、この方法では広範囲に渡る領域欠損(1)や、相同組換えを利用したノックイン(2)の成功率は低く、改善が必要である。そこで本研究では、たくさんのクローンの遺伝子型解析が容易なES細胞株を用いて、複雑な遺伝子改変の手法を確立することを目的とし、実験系の構築を行った。 (1)領域欠損に関しては、2種類のsgRNA/CAS9発現プラスミドをリポフェクションによりES細胞へ導入し、欠損領域を挟んだプライマーを用いてPCRによりスクリーニングを行った。(2)相同組換えに関しては、sgRNA/CAS9発現プラスミドと変異を有する一本鎖オリゴヌクレオチドもしくは二本鎖DNAを同時に導入し、PCRおよびシークエンス解析によりスクリーニングした。その結果、ES細胞では、受精卵注入法に比べて変異導入効率が高く、試した約50遺伝子すべてにおいて、目的の変異(最大800kbに及ぶ領域欠損やノックイン)を持つESクローンが得られた。また、こうした変異ES細胞を8細胞期のマウス胚に注入してキメラマウスを作製し、交配によりホモ型変異マウスを得ることができた。以上の成果を受精卵注入法と比較することにより、それぞれの方法の長所、短所をまとめて日本実験動物学会において口頭発表を行った。また現在、学術論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR/Cas9システムを応用したES細胞での様々なゲノム編集を試み、計画通り研究を遂行した。研究結果は学会で報告し、論文も現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で、ES細胞株を用いたCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集の実験系構築した、ES細胞株を用いたCRISPR/Cas9システムを応用し、精巣特異的に発現遺伝子のノックアウトマウスの作製を試みる。ES細胞を介することで60kbに及ぶ遺伝子クラスターを欠損させることに成功し、今後はこのノックアウトマウスを作製して表現型解析に着手するところである。
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Research Products
(3 results)