2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J04607
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
守口 海 信州大学, 総合工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 焼きなまし法 / 制御変数 / 間伐率 / 立木密度 / ばらつき / 伐採スケジュール / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では1林分における伐採スケジュールの最適化手法の確立を目指している。特に問題となるのは、収益モデルに造材のプロセス等を考慮すると、最大化対象となる収益関数が非常に不連続化し、真の最適解を得ることが困難となることである。本研究では、このようなモデルでも比較的良好な近似的最適解が得られる焼きなまし法を応用し、目的を達成しようとしている。なお焼きなまし法は乱数を用いた確率的な探索手法であり、実行毎に結果は異なる。したがって、複数の探索を行ってそのばらつき等を観察することとともに、格子点を用いて得た、近似的だが確実な最適解と比較することなどにより、その信頼性を評価する必要がある。 本年度は4通りの収益モデルをベンチマーク問題として設定し、5年ごとに設定した間伐候補年における間伐率の値を調整することで、最適伐採スケジュールを得ることを試みた。その結果、単純な収益モデルについては、非常にばらつきが少なく、格子点を用いて得た最適解とも非常に近い結果を得た。しかし複雑なモデルについては、非常にばらつきが大きくなった。単純な乱数を発生(ただし反復回数は焼きなまし法の5倍)させて得たときの結果と比較すると、平均的には焼きなまし法の方が真の最適解に近い結果を得られたが、ばらつきは単純な乱数を用いた場合よりも大きかった。そこで、間伐率でなく間伐前後の立木密度を調整するように制御方法を変更したところ、得られた解のばらつきが小さくなったほか、真の最適解からの乖離もかなり低減できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
焼きなまし法の最適伐採スケジュール探索問題への適用を試み、その性能を評価するとともに、信頼性を改善しうる改良方法について、一定の成果が得られた。また、信頼性は最良の焼きなましパラメータを用いた場合、最良でないパラメータを用いた場合の性能劣化の程度の両面から評価を行うことを試みている。これらの状況から、おおむね予定通りに課題が進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、遺伝的アルゴリズム等、焼きなまし法以外の手法の適用を試みるとした。しかし、まずは信頼性・実用性の高い手法を開発する方が、今後開発されるであろう伐採スケジュール最適化手法の信頼性評価や性能比較の基盤となると考え、焼きなまし法の信頼性・実用性を向上させることを考えることとした。 焼きなまし法はその設定パラメータにより、性能が影響されることが知られている。したがって、与えられた収益モデルに対応してそれらのパラメータを調整する手法が必要となる。逆に、その手法が確立できるならば、本研究課題の目的は、一定の達成を見ることができる。そこで今後は、所与の収益モデルに対して良好な最適解を得られる、焼きなましパラメータの調整手法の確立を目指す。
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Research Products
(3 results)