2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J04680
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横井 智記 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 噴霧燃焼 / 流体計算 / 燃焼実験 / NOX |
Outline of Annual Research Achievements |
ボイラなどの定置型燃焼器におけるNOX排出は,国内の総排出量の約4割を占めるため低減しなければならない.既往の定置型燃焼器で使用されている定常噴霧燃焼では燃料濃度の空間的な偏りが現れる.高圧パルス噴霧燃焼では噴射圧力,噴射間隔および噴射時間の制御による燃料の断続噴射により,定常噴霧燃焼と比較して燃料の分散を高度に制御可能である.液体燃料を断続して噴射し準定常的な火炎を形成した研究例は皆無であり,現象の把握が必要である.そこで,燃焼炉において燃焼実験を行うことにより高圧パルス噴霧の燃焼特性を把握した.燃焼炉内の現象は限られたプローブ孔からの測定のため,得られる情報が限られる.そこで,数値解析により燃焼現象を詳細に検討することを目指し,噴霧蒸気の流動特性を検討するとともに,燃焼モデルを検討した. 燃焼実験において,各噴射圧力および発振周波数におけるOHラジカル発光強度および微粒子を検討した.OHラジカルの発光強度は噴射圧力の増加にともない検出時間およびピーク高さが増加することおよび発振周波数の増加にともない噴射周期と同一の周波数のピーク高さが減少することを示した.出口の微粒子濃度分布より,高圧パルス噴霧燃焼において発生する微粒子は未燃のHCの凝縮液滴であり,すすは生成されていないことを示唆した. 数値解析において,複数回噴射時の燃料蒸気の流動現象の検討および詳細反応機構に基づく燃焼モデルのコード開発を行った.燃料蒸気の分布は噴射周期が短い場合に局所に偏り,高濃度な領域を形成することが示された.詳細化学反応機構に基づく燃焼モデルを用いて,層流燃焼の実験を再現した数値解析を行い,実験値を良好に再現することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では,高圧パルス噴霧の燃焼実験を行い,燃焼炉内のOHラジカル発光強度測定および出口の微粒子濃度分布を測定するとともに,数値解析において総括反応機構に基づく噴霧の燃焼計算を行う予定であった.本年度は,この計画通りに実験を進めることができ,その結果を論文にまとめ,国際誌に投稿した.また,数値解析に関しては,総括反応機構に基づく噴霧の燃焼計算を行うことができるようになるとともに,詳細化学反応機構に基づく燃焼計算手法の開発に着手し,層流燃焼において妥当性を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における今後の推進方策としては,まず詳細化学反応機構に基づく燃焼計算手法に関して,乱流燃焼においても妥当性を確認する.次に高圧パルス噴霧の準定常的な計算を行い,噴霧の流動現象の検討を行う.その後,高圧パルス噴霧燃焼の解析にこの燃焼計算手法を適用し,噴射圧力および発振周波数といった操作パラメータを変化させて,ケーススタディーを行う.詳細化学反応機構に基づく燃焼計算手法は現在取り組んでいる燃焼モデルの他に種類がある.高圧パルス噴霧燃焼への適用において,計算精度の問題が発生した場合は他の燃焼モデルの適用を試みる.
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Research Products
(4 results)