2015 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスRNAセンサータンパク質によるウイルス感染認識分子機構の解明
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15J04718
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 藍子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 高速原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
外来ウイルスRNAの認識におけるセンサータンパク質MDA5の構造・機能協関を明らかにするために、液中高速原子間力顕微鏡を用いて、機能活性型/不活性型MDA5の構造を可視化解析した。結果、機能活性型MDA5は「閉じた」構造であり、一定時間内における分子最小外接径の変化が不活性型MDA5に比べて優位に小さかった。これは、“機能活性型は閉じた構造”であり“機能不活性型は開いた構造”であるという、これまでの知見を動的側面から支持するものである。 活性型MDA5がミトコンドリア膜上の下流シグナル因子IPS-1を活性化する分子機構を解明するために、以下の実験を行い、成果を得た。精製したIPS-1に、野生型/恒常活性型MDA5を加え、原子間力顕微鏡で可視化したところ、恒常活性型MDA5を加えた場合にのみ、IPS-1の凝集が観察された。また、蛍光タンパク質融合型IPS-1を発現するHeLa細胞からミトコンドリアを単離し、ミトコンドリア上でのIPS-1の局在・凝集を蛍光顕微鏡下で経時観察する系を立ち上げた。現在、MDA5がミトコンドリア上のIPS-1の局在や凝集に及ぼす影響を解析中である。 “生細胞内におけるウイルス感染認識の素過程の可視化解析”の前段階として、細胞研究用として新たに試作された共焦点顕微鏡一体型高速原子間力顕微鏡を、生細胞表層で起こる現象の観察に応用した。生細胞の表面の観察から、細胞表面には、直径の異なる大小2種類の膜のくぼみ(ピット)があり、様々な異なる膜動態が付随したピットの開閉が起きていることが明らかになった。蛍光分子融合型のエンドサイトーシス関連タンパク質とピットとの共局在を検証した結果、大小のピットがそれぞれクラスリンとカベオリン依存的エンドサイトーシスのピットであることが分かり、クラスリンのエンドサイトーシスでは、“膜の隆起がピットにフタする”ことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、研究項目1の高速原子間力顕微鏡を用いた精製MDA5分子の一分子レベルでの動態-機能相関の解析をほぼ終え、研究項目3では、生細胞内での“ウイルスRNA- MDA5-IPS-1複合体”の時空間解析を行う上で、重要な基盤となる、生細胞での分子の局在と微細な構造とを同時に可視化する観察系を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
第二年度は、MDA5がミトコンドリア上のIPS-1の局在や凝集に及ぼす影響を、単離ミトコンドリアを用いたin vitroの系と生細胞を用いたin vivoの系にて、精査していく。
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Research Products
(4 results)