2015 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ礁有孔虫における細胞内ダイナミクス可視化による生物石灰化制御機構の解明
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15J04797
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大野 良和 琉球大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | バイオミネラリゼーション / 有孔虫 / 石灰化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物が硬組織を作り出す作用は「バイオミネラリゼーション」と呼ばれている。しかしながら、生物におけるバイオミネラリゼーションに関する、生体内における詳細なプロセスは不明な点が多い。そのため、生体を非侵襲的に生体イメージングすることで、そのプロセス解明を行うことが必須となっている。本研究課題では特に、共焦点顕微鏡を使用することで、細胞レベルの詳細なイメージングを行うことを目的としている。 昨年度は、沖縄県産の大型有孔虫をモデルとし、以下の研究を実施した。1.細胞透過型のCalcein(Calcein AM)を使用するこで、生きた有孔虫の細胞質形態や、網状仮足を鮮明にイメージングを実施した。2.細胞膜不透過型のpH蛍光指示薬を比較的高濃度で使用し、細胞内液胞のpH変化を継時的に観察するこが可能となった。結晶形成の場と考えられる、アルカリ性の液胞のみならず、細胞内には多数の酸性領域が存在する様子を可視化した。 また、骨格形成を始めたばかりのサンゴ初期ポリプのバイオミネラリゼーションについても研究を進めた。3.サンゴ体内で結晶の成長過程を蛍光イメージングできた他、4.pH蛍光指示薬を飼育海水中に溶解させることで、骨格形成の場(石灰化母液)のpH変動についても、経時的に測定することに成功した。このように、有孔虫のみならず、他の生物種においても、バイオミネラリゼーションの解明に蛍光イメージング技術が適用できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有孔虫の石灰化タンパク質の分泌過程のイメージングに成功していない。
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Strategy for Future Research Activity |
サンゴ初期ポリプを用いた実験では、骨格形成の場においてタンパク質が高密度に存在している様子を可視化できており、今後は有孔虫の実験に応用し、解決を試みる。
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Research Products
(5 results)