2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J04810
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
ナワビ アハマッド矢麻 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 中央アジア / 伽藍配置 / GPR / GIS / アク・ベシム / 仏教寺院 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、中央アジア、特にカザフスタン共和国・キルギス共和国に位置する仏教寺院のデータベース化、対象寺院の調査、及び調査・研究手法である測量調査、GPR(レーダー探査)、三次元計測、SfM、GIS等の習熟に努めた。 中央アジアのデータベース化は、主に初年度に対象としたカザフスタン共和国・キルギス共和国に立地する仏教寺院について実施した。カザフスタン共和国においては、国立考古局が実施した測量・GPR探査・発掘調査に参加した。本調査で対象としたのはカザフスタン西部のアティラウ州に位置するクルガンであり、自身は特に発掘成果とGPR探査成果の比較について報告した。調査と同時に、カザフスタン国内の仏教寺院に関する情報・文献を収集した。 キルギス共和国においては、キルギス科学アカデミーと東京文化財研究所が共同で行ったGPR探査・発掘調査に参加した。本調査では、唐代に西域に置かれた砕葉鎮に比定されるアク・ベシム遺跡を対象に探査と発掘を行った。キルギス・チュー川沿いに存在する仏教寺院は、いずれも都市遺跡に付随する点や、多くが都市の南壁の外側に位置する点を指摘できた。これらの分析結果は、今年度に論文としてまとめ、学術誌に投稿する予定である。アク・ベシム遺跡においては、都市を構成するシャフリスタンと呼ばれる居住区のGPR探査・発掘を実施した。発掘調査の成果については現在整理中であり、今年度のWASEDA RILAS JOURNAL No.4で報告予定である。カザフスタン共和国・キルギス共和国のほかに、修士課程で対象としていたガンダーラ地方の仏教寺院についても資料を収集し、データベースにまとめた。 2015年度は、成田船塚古墳、山王横穴墓、山室姫塚古墳において、調査を実施した。これらの方法論は中央アジア仏教寺院の調査でも大きな役割を果たすため、継続して方法論の習熟に努める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初予定していた中央アジア(カザフスタン共和国・キルギス共和国)での調査、仏教寺院のデータベース化、技術習得を目的とした日本国内での調査を実施した。 海外において、カザフスタン・アティラウのクルガン、キルギスの仏教寺院を伴う都城址を探査・発掘調査を実施した。成果については今年度報告予定であるが、分類・分析を並行して行っている。同時にカザフスタン共和国・キルギス共和国内の仏教寺院、仏教関連遺跡の情報も収集し、データベース化している。当初予定していた両国の調査を実施し、調査成果の報告、情報の収集を行った点で、研究は順調に進展したといえる。収集した情報を基に構築したデータベースは、後にGIS上での分析を可能にするために世界測地系での座標情報も反映させている。 今年度はガンダーラ地方に立地する仏教寺院の分布と伽藍配置についてデータベース化を進め、研究をまとめた。対象寺院を増やしたため、2015年度中の刊行は間に合わなかったが2016年度の「早稲田大学文学研究科研究紀要」に投稿予定である。 調査技術の習得については計画以上に進展した。遺跡調査に有効なGPR、三次元計測、SfMなどの技術や、分布や景観についての研究に必要なGISについて技術を習得し、自身の研究に活用する段階まで習熟した。対象とした日本国内の遺跡については概報や論文を執筆中である。 GISでの分析に必要な衛星画像や遺跡の位置情報も収集しており、ガンダーラ地方、キルギスのそれぞれの地域について分析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は、キルギス・カザフスタンの踏査及びガンダーラ地方(アフガニスタン、パキスタン)・キルギスの仏教寺院のデータベース構築・分析、GPR・GISなどの技術習熟を目的とした国内遺跡調査を実施した。 今年度はカザフスタン・キルギス・ガンダーラ地方(アフガニスタン・パキスタン)に加え、ウズベキスタン・トルクメニスタンについて仏教寺院の情報を収集し、データベース化を行う。データベース構築の際には、資料の収集に基づく報告書の記述がベースとなるが、地理情報や伽藍配置の把握が困難な場合は現地で調査を行い、不足した情報を補完する。 今後の研究の推進方策については、前年度習熟したGISを駆使した分析を行う予定である。昨年度までに対象としたガンダーラ地方・キルギスについては衛星画像を入手し分析を行っている。衛星画像や地形情報(CORONAやLANDSAT)は日本国内で入手が可能であり、今後の研究の主軸を担うものであると考えている。 昨年度実施した調査については報告に向けた整理作業や執筆作業を鋭意行っていく。具体的には、キルギス、アク・ベシム遺跡より出土した瓦や土器の実測や拓本、三次元計測を行う。昨年発掘された遺物は、キルギスの首都ビシュケクにある科学アカデミーに収蔵されているため、現地に赴き作業を行う。渡航の際には、キルギスやウズベキスタン、トルクメニスタンでの仏教寺院の踏査を必要に応じて並行して行う。 中央アジアの仏教寺院の研究に有効なGIS、三次元計測、GPRについても引き続き方法論として理解を深める。
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Research Products
(6 results)