2015 Fiscal Year Annual Research Report
[2+2+1]型反応による橋頭位含窒素双環性骨格構築とロゼオフィリンの全合成研究
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15J04819
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩田 隆 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 天然物合成 / 有機金属化学 / 環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
(+)-Roseophilinは特異な生理活性とユニークな構造を持つことから非常に興味深い化合物であり、その効率的合成法の開発が望まれている。申請書に示したように、著者はニトリルをπ成分とする[2+2+1]型反応により含窒素双環性骨格を構築する手法を見出しており、本法を応用することでroseophilinの効率的な合成法の開発が可能だと考え、その全合成研究を行った。研究実施計画では、今年度においてはイソシアネートを反応成分とする[2+2+1]型反応の開発を目的としていたが、同時展開していたroseophilinの全合成研究(当初平成28年度実施予定)について新たな知見が得られたため、計画を変更し合成を行った。 既知の方法に従い、市販の2-ブチン-1,4-ジオールから6工程でアレン―ニトリル体へ導き、一酸化炭素雰囲気下[RhCl(CO)dppp]2と処理してアザビシクロ[3.3.0]体を72%の収率で合成した。合成した環化体をヘプテナールと縮合させ34%の収率でフルベン体とした後、アミド窒素をベンジル基で保護しベンジル化体を59%の収率で得た。得られたベンジル化体をNaBH4と処理して還元し収率66%でトリエン体とした。トリエン体のラクタム部を、DIBALを用いて還元してヘミアミナールとした後、ルイス酸存在下、アリルトリブチルスズと反応させてテトラエン体をジアステレオマー混合物として得た。得られたジアステレオマーを混合物のままトルエン中ホベイダ―グラブス第二世代触媒と処理して13員環成績体を37%の収率で合成し、roseophilinの主骨格を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Roseophilinの合成経路を確立するには、1)ビシクロ[3.3.0]骨格の構築、2)13員環構築の2つの挑戦的な段階を克服する必要があり、1)の課題については前年度までの検討(アレン―ニトリル体の[2+2+1]環化付加反応)により達成している。今年度、2)の克服を目的に研究を行った結果、1)で合成したビシクロ体の種々の官能基変換、鍵反応となるグラブスのオレフィンメタセシスを経て13員環構築を行うことに成功した。未だ、環構築における収率の改善や、その後の天然物合成までの経路確立に課題を残すものの、本研究課題はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度合成した13員環成績体のシアノ基を足がかりとしてフラン環及びピロール環を導入し、roseophilinの全合成を目指すとともに、当初計画予定であったイソシアネートを反応成分とする[2+2+1]型反応の開発を行う。
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Research Products
(1 results)