2016 Fiscal Year Annual Research Report
不正競争防止法による店舗内外装保護の可能性―米・英・仏法との比較法的見地から―
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15J04884
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
末宗 達行 早稲田大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 不正競争防止法 / トレードドレス / パッシングオフ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度における比較対象国の知的財産法制度に関する基礎研究、とりわけイギリス法のPassing offを中心に検討を行ったことを受け、次いで本年度においては、不正競争法のうち店舗内外装に関する準則に焦点を当てて、比較対象国の現状についての調査研究を行った。 前年度に引き続き、本研究が対象とする不正競争防止法2条1項1号と対応するイギリスのコモン・ロー上の不法行為概念であるPassing offにつき、Passing offにおいて特徴的なパブリシティ保護に関する準則について取り上げて検討を行い、論文を完結させた(拙稿「イギリスにおけるPassing offによるパブリシティ保護(三・完)―不正競争防止法・混同防止規定によるパブリシティ保護への示唆―」『法研論集』159号247-267頁)。 また、店舗内外装については、2016年12月に東京地方裁判所でコメダ珈琲店の店舗内外装への不正競争防止法2条1項1号による保護が日本で初めて認められた決定(東京地決平成28年12月19日Westlaw Japan 文献番号 2016WLJPCA12196001)が出された。これを受けて、アメリカ法との比較を通じて、本決定の日本法への影響について報告を行った(Tatsuyuki Suemune, "Protection on retail store design as indicators of the origin of source in Japan and the U.S.", Junior IP Scholars Workshop "Challenges and Opportunities for IP Protection",北海道大学, 2017年3月3日)。関連して、アメリカ連邦法におけるデザイン保護法制についての検討もおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度においては、不正競争法のうち店舗内外装に関する準則に焦点を当てて、比較対象国の現状についての調査研究を行う予定であった。 現状では、確かにフランス法に関する調査は十分ではないものの、当初の予定では最終年度に重点を置く予定であったアメリカ法についても、店舗内外装に関する保護の現状を検討でき、日米の比較を行う報告を実施できた。また、前年度に引き続いてPassing offに関する検討を行い、Passing offによるパブリシティ保護に関する論文を完結させることができた。 これらのことに鑑みれば、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、日本法の不正競争防止法による店舗内外装に関連する保護に向けた解釈を模索し、研究成果を博士論文としてまとめあげることを目標とする。前年度までの検討を受けて、本年度は、比較対象国における不正競争防止法の歴史及び店舗内外装に対する法準則の現状に照らし、FTA/EPAが進展し企業活動がグローバル化する中で、あるべき店舗内外装の法的保護と法解釈による実現の可能性を明らかにする。 研究手段としては、引き続いて、国内外の学会への出席を予定するが、国内外の関連文献の収集と渉猟を通じた検討を中心に行う。具体的には、国際学会・国際著作権法学会大会(ALAI)などの国外の学会へも出席し各国から集まる学者や実務家などとそれまでに得られた成果に関し意見交換を行うことを予定している。加えて、著作権法学会及び日本工業所有権法学会といった国内の学会への出席も予定しており、国内の学者との意見交換も予定している。
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Research Products
(1 results)