2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J04964
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 美穂子 東京大学, 大学院医学系研究科・医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | パニック症 / HLA / メチル化 / 免疫系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、パニック症に関連する遺伝要因を探査するために、ゲノム・エピゲノム双方の観点から主に以下の解析を実施した。1.パニック症のゲノムワイド関連解析(GWAS)のデータを用いたパスウェイ解析、2.ヒト白血球抗原(HLA)の解析、3.パニック症のゲノムワイドメチル化解析、4.メチル化に影響を与える遺伝子多型の検討 ゲノム研究としては、すでに実施していたパニック症のGWASデータを用いたパスウェイ解析を実施し、免疫系のパスウェイが疾患に関連し、それらの関連にHLAが寄与しているという結果を得た。そこでGWASデータを再検討した結果からHLA-B、-DRB1に着目し、タイピング並びにimputation解析にてアリル型を決定した。患者・健常者の比較からHLA-DRB1*13:02が疾患と関連しているという結果が得られた。さらにこの関連アリルでGWASデータを層別解析すると、DRB1*13:02 (-) 群において、ヨーロッパ系集団のGWASで関連が報告されているTMEM132D内の複数のSNPが日本人集団においても関連を示した。さらに、当該HLAアリルが日本人以外の集団においてもパニック症に関連する可能性を検討するために、ヨーロッパ系集団のGWASデータを用いて、HLA imputationを実施して遺伝子型の推定を行った。エピゲノム研究としては、パニック症のゲノムワイドメチル化解析を実施した。適切なデータの標準化法並びに解析法を検討し、患者・健常者間でメチル化率に差がある部位が、特に白血球の活性化の制御に関わるパスウェイ上の遺伝子に関連付けられるという結果を得た。本研究で実施した、ゲノム研究並びにエピゲノム研究の結果は、共に免疫系に関わる遺伝子の疾患への関連を示唆しており、今後免疫系がどのように疾患に関連しているのかについてさらに検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、個々のオッズは小さい変異・多型の中から真に疾患に関連している遺伝要因を探索すると共に、疾患に関連するエピゲノム要因を探索することを目的として実施した。そのためにゲノム研究としては、GWASのパスウェイ解析を実施し、HLAを新たな疾患関連候補遺伝子として見出した。日本人で疾患への関連が認められたHLA-DRB1*13:02が日本人以外の集団でも関連を示すかを検討するために、米・National Institute of Mental Healthの研究室に共同研究を依頼し、ヨーロッパ系集団での検討も実施し、日本人と同様の傾向を確認した。さらに効率的に疾患に関連する稀な変異を探索するために、全ゲノムimputation解析に着手した。本imputation解析は東北大学が保有する日本人2000例の全ゲノムシークエンスデータをリファレンスとして実施するものであり、頻度の低いSNPやindelについても高い推定精度が期待できる。 エピゲノム要因探索のためには、網羅的なDNAメチル化解析を実施した。先行研究の結果に基づき解析を工夫することで、免疫系に関連する遺伝子群周辺のメチル化が疾患に関連する可能性を見出し、論文発表をした。 本研究で実施した解析では、パニック症への免疫系の関与が示唆され、興味深い知見を得ることができた。以上の進捗を踏まえて、研究の進捗状況は概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム研究については、引き続きGWASでは検出することができない稀な変異やindelに着目した解析を実施していきたいと考えている。今年度着手した日本人のシークエンスデータをリファレンスとした全ゲノムimputation解析で新たに見つかった変異については、実際にタイピングを実施して再現性を確認することが必要である。さらに、HLAの解析についても、今年度解析可能であったヨーロッパ系集団のサンプルは患者が134例と非常に少数であるため、さらに例数を増やして再現性の確認と新たな関連アリルの探索を実施していきたいと考えている。パニック症については国際的なコンソーシアムでデータを統合するという話し合いが進んでおり、次年度以降さらに大規模データを使用した解析が実現可能である。 エピゲノム研究については、今年度報告した疾患関連メチル化部位について、メチル化アレイ以外の方法でサンプルを増やした再現性研究が必要であると考えている。 また、さらなる疾患関連遺伝要因を同定するためには、ゲノムとエピゲノムのデータを統合的に解析することが重要であると考えている。今年度までに得たパニック症についてのGWASデータとゲノムワイドメチル化解析のデータを、新たな手法で統合的に解析することを予定している。一部のSNPはそのアリル型が近位または遠位のメチル化と相関することが知られている(meQTL)。我々はすでにこのようなmeQTLの性質についての解析を実施し、日本人において検出されるmeQTLの大部分は(約75%)は他集団のmeQTLと一致することを確認している。次年度以降はこのmeQTL関係を利用した統合解析の手法を確立し、疾患の発症機序解明の一助となるような成果を得ることを目標としたい。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Epigenome-wide association study of DNA methylation in panic disorder2017
Author(s)
Shimada-Sugimoto, M., T. Otowa, T. Miyagawa, T. Umekage, Y. Kawamura, M. Bundo, K. Iwamoto, M. Tochigi, K. Kasai, H. Kaiya, H. Tanii, Y. Okazaki, K. Tokunaga and T. Sasaki
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Journal Title
Clinical Epigenetics
Volume: 9
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Polymorphisms in the TMEM132D region are associated with panic disorder in HLA-DRB1*13:02-negative individuals of a Japanese population2016
Author(s)
Shimada-Sugimoto, M., Otowa, T., Miyagawa, T., Khor, S.S., Omae, Y., Toyo-oka, L., Sugaya, N., Kawamura, Y., Umekage, Miyashita, A., Kuwano, R., Kaiya, H., Kasai, K., Tanii, H., Okazaki, Y., Tokunaga, K., Sasaki, T.
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Journal Title
Human Genome Variation
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Immune-related pathways including HLA-DRB1*13:02 are associated with panic disorder2015
Author(s)
Shimada-Sugimoto, M., Otowa, T., Miyagawa, T., Khor, S.S., Kashiwase, K., Sugaya, N., Kawamura, Y., Umekage, T., Kojima, H., Saji, H., Miyashita, A., Kuwano, R., Kaiya, H., Kasai, K., Tanii, H., Tokunaga, K., Sasaki, T.
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Journal Title
Brain Behavior and Immunity
Volume: 46
Pages: 96-103
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] パニック症のゲノムワイド関連解析のHLAアリルによる層別解析2016
Author(s)
杉本美穂子, 音羽健司, 宮川卓, Khor Seik-Soon, 大前陽輔, 豊岡理人, 柏瀬貢一, 小島裕人, 二神貴臣, 佐治博夫, 佐々木司, 徳永勝士
Organizer
日本組織適合性学会 第25回大会
Place of Presentation
北海道大学学術交流会館 (北海道札幌市北区)
Year and Date
2016-10-23 – 2016-10-24
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[Presentation] Epigenome-wide association study of DNA methylation in panic disorder2016
Author(s)
Mihoko Shimada-Sugimoto, Takeshi Otowa, Taku Miyagawa, Nagisa Sugaya, Yoshiya Kawamura, Tadashi Umekage, Hisanobu Kaiya, Kiyoto Kasai, Hisashi Tanii, Yuji Okazaki, Katsushi Tokunaga and Tsukasa Sasaki
Organizer
America Society of Human Genetics 2016
Place of Presentation
バンクーバー, カナダ
Year and Date
2016-10-18 – 2016-10-21
Int'l Joint Research
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[Presentation] Genome-wide association study in a Japanese sample identifies candidate loci for HLA-DRB1*13:02-negative panic disorder2016
Author(s)
Mihoko Shimada, Takeshi Otowa, Taku Miyagawa, Seik-Soon Khor, Yosuke Omae, Licht Toyo-oka, Nagisa Sugaya, Yoshiya Kawamura, Tadashi Umekage, Akinori Miyashita, Ryozo Kuwano, Hisanobu Kaiya, Kiyoto Kasai, Hisashi Tanii, Yuji Okazaki, Katsushi Tokunaga, Tsukasa Sasaki
Organizer
The 13th International Congress of Human Genetics
Place of Presentation
京都国際会館(京都府京都市左京区)
Year and Date
2016-04-03 – 2016-04-07
Int'l Joint Research
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[Presentation] パニック障害におけるゲノムワイドメチル化解析2015
Author(s)
杉本美穂子, 音羽健司, 宮川卓, 菅谷渚, 河村代志也, 梅景正, 貝谷久宣, 笠井清登, 谷井久志, 岡崎祐士, 徳永勝士, 佐々木司
Organizer
日本人類遺伝学会 第60回大会
Place of Presentation
京王プラザホテル(東京都新宿区)
Year and Date
2015-10-14 – 2015-10-17
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[Presentation] Search for new susceptibility genetic factor associated with panic disorder-pathway analyses based on genome-wide association study-2015
Author(s)
Mihoko Shimada-Sugimoto, Takeshi Otowa, Taku Miyagawa, Seik-Soon Khor, Koichi Kashiwase, Nagisa Sugaya, Yoshiya Kawamura, Tadashi Umekage, Hiroto Kojima, Takaomi Futagai, Hiroh Saji, Akinori Miyashita, Ryozo Kuwano, Hisanobu Kaiya, Kiyoto Kasai, Hisashi Tanii, Yuji Okazaki, Katsushi Tokunaga, Tsukasa Sasaki
Organizer
America Society of Human Genetics 2015
Place of Presentation
ボルチモア, アメリカ合衆国
Year and Date
2015-10-06 – 2015-10-10
Int'l Joint Research