2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J05071
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山中 綾香 筑波大学, 数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ナノカーボン物質 / 第一原理計算 / NFE状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノカーボン物質の半導体デバイス応用において本質となる、異種物質との複合構造体の電界下における基礎物性解明のため、中でもグラフェンナノリボンに注目し、端構造、原子吸着の及ぼす影響について調査を行った。 種々の端構造について安定性の調査を行った結果、水素が吸着した端が水素のない清浄端に比べエネルギー的に安定であった。また、いずれもアームチェア端はジグザグ端に比べて安定であり、さらに水素化端においては、アームチェア端とそれに近い端構造の安定性が同程度であることから、グラフェンナノリボン・ナノフレークは本質的に端構造にばらつきを持つことを明らかにした。電子構造の解析から、アームチェア端での高い安定性は半導体性に起因し、フェルミレベル近傍の状態数が増加するほど不安定化することを発見した。これらのリボンは電界印加によりエネルギーギャップが広がり半導体化する傾向があり、全体的に安定性が増す。また、電界印加によって高エネルギー領域に存在する真空に分布を持つ状態が低エネルギーシフトすることを発見した。強電界下ではこの状態へのキャリア注入が可能であり、電極-リボン間に新たな分布ができることから接触抵抗の低下が期待される。 また、28年度に予定する金属電極との接合系に関連して、近年注目を集めている六方晶窒化硼素の電極への応用可能性に着目し、この基礎物性探索を行った。安定性の調査から、清浄端ではグラフェンと同様アームチェア端がジグザグ端より安定であるのに対し、水素が吸着するとアームチェアからジグザグまでの全端構造において安定性が同程度であり、h-BNナノリボン・ナノフレークも本質的に端構造にばらつきを持つことを明らかにした。 以上の結果は、未解明であったナノカーボン物質の電界下での物性解明を行ったものであり、デバイス応用に向けた基礎研究として重要かつ意義深いものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度にはナノカーボン物質の物性に対する欠陥、原子/分子吸着導入による影響の調査を予定していた。欠陥に関しては、原子欠陥とトポロジカル欠陥を対象としていたが、原子欠陥の計算量が多くトポロジカル欠陥の計算までには至らなかった。また、原子/分子吸着についても複数の原子/分子種を予定していたが、水素原子のみの計算となった。計画に比して欠陥や吸着原子/分子の種類が少なくなってしまったものの、計画では28年度に行う予定であった電極との接合に関する計算を前倒しで行ったため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は予定どおり電極とナノカーボン物質の接合系の調査を行うとともに、27年度に扱うことのできなかったトポロジカル欠陥や、他の吸着原子/分子について調査を行う。また、取り扱った複合構造について伝導特性の調査を目指す。原子/分子吸着については多種の原子/分子を取り扱うと計算量が多くなることが予想されるため、吸着させるナノカーボン物質の構造を限定することで対応する。
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Research Products
(12 results)