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2015 Fiscal Year Annual Research Report

後天性再生不良性貧血における遺伝子変異・クローン構造の解析

Research Project

Project/Area Number 15J05178
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

吉里 哲一  東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2015-04-24 – 2017-03-31
Keywords再生不良性貧血 / クローン性造血 / 体細胞変異
Outline of Annual Research Achievements

【目的】再生不良性貧血は非腫瘍性疾患であるにもかかわらず、高頻度にクローン性造血を認め、また約10-15%症例が経過中に骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病といった造血器腫瘍を発症することが知られている。本研究では、再生不良性貧血におけるクローン構造の意義を明らかにすることを目的として、再生不良性貧血患者由来DNAに対して、ゲノム解析を実施した。
【方法】439症例の後天性再生不良性貧血患者の末梢DNA血検体に対して、次世代シーケンサを用いて106遺伝子の標的シーケンスとアレイ解析に基づく核型分析を行った。更に82 例では継時的検体についても併せて解析を行った。
【研究結果】標的シーケンスにより36%の症例に変異を同定した。BCORまたはBCORL1、PIGA 、DNMT3A、ASXL1に高頻度に変異が同定された。変異陽性率・変異数ともに年齢ととともに上昇した。SNPアレイ核型分析では6番染色体短腕の片親性ダイソミーを最も高頻度に認め、標的シーケンスと合わせて47%の症例にクローン性造血を認めた。BCOR・BCORL1変異のクローンサイズは継時的に縮小または不変の傾向を呈したが、DNMT3A・ASXL1変異は拡大する傾向を認めた。次に変異の予後への影響を評価したところ、PIGA・BCOR/BCORL1変異は良好な全生存・低い骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病への進展率、それ以外の変異は不良な予後を示した。
【本研究の意義】本研究は、再生不良性貧血について行われた最大の包括的な遺伝学的解析であり、再生不良性貧血の分子病態の解明に大きく寄与するとともに、骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病といった造血器腫瘍発症に先立って生じている造血組織の異常とその挙動を明らかにした。今後、再生不良性貧血の予後予測、更に骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病の早期診断、早期治療への応用が期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

再生不良性貧血439症例666検体のシーケンスを実施し、再生不良性貧血におけつクローン構造を詳細に評価した。当初の計画より早く解析が終了し、本研究の成果をNew England Journal of Medicine誌に発表しすることができた(T Yoshizato et al., N Engl J Med 2015)。

Strategy for Future Research Activity

本研究により再生不良性貧血ではBCOR・PIGA・ASXL1・DNMT3A遺伝子の4遺伝子に高頻度に変異を認めることが明らかになった。DNMT3A・ASXL1変異は骨髄異形成症候群でより高頻度に検出され、またこれらの変異を有している症例は、実際に骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病への移行率が高いことから前白血病的性格を持ったクローンであると考えられる。一方、PIGA遺伝子は、GPIアンカー蛋白の合成に関与しており、PIGA変異によりGPIアンカー蛋白を欠失することで、免疫機構を活性化させる分子を提示できなくなり、骨髄不全環境下で免疫細胞からの認識を回避し、相対的に増加する機序が想定されている。BCORはPolycomb Repressive Complex-1 (PRC1)構成分子であり、ヒストン修飾に関与していると考えられているが、どのような機序で再生不良性貧血環境下でクローン拡大を来しているのか不明である。再生不良性貧血では、BCOR変異は、経時的にクローンサイズが拡大せず、また良好な治療転帰に関与していることから、PIGA変異と同様に骨髄不全環境下では免疫監視機構からの回避に関与しているの可能性が考えられる。
また、再生不良性貧血の病態は免疫学的機序による造血幹細胞の破壊が主体と考えられているが、自己抗原は同定されてない。
今回シーケンスを実施した症例のHLAタイピングを実施し、BCOR変異ペプチドのHLA結合能を評価し、再生不良性貧血の標的抗原の同定を試みる。

Remarks

京都大学ホームページ

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 Other

All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Somatic Mutations and Clonal Hematopoiesis in Aplastic Anemia.2015

    • Author(s)
      Yoshizato T, Dumitriu B, Hosokawa K, Makishima H, Yoshida K, Townsley D, Sato-Otsubo A, Sato Y, Liu D, Suzuki H, Wu CO, Shiraishi Y, Clemente MJ, Kataoka K, Shiozawa Y, Okuno Y, Chiba K, Tanaka H, Nagata Y, Katagiri T, Kon A, Sanada M, Scheinberg P, Miyano S, Maciejewski JP, Nakao S, Young NS, Ogawa S.
    • Journal Title

      New England Journal of Medicine

      Volume: 373(1) Pages: 35-47

    • DOI

      10.1056/NEJMoa1414799.

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] 再生不良性貧血におけるゲノム解析研究の進歩2015

    • Author(s)
      吉里哲一
    • Journal Title

      血液内科

      Volume: 71(1) Pages: 134-141

  • [Remarks] 再生不良性貧血における遺伝子変異の解明 -白血病発症にいたる過程を初めて解明-

    • URL

      http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/150702_1.html

URL: 

Published: 2016-12-27  

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