2015 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ雄外部生殖器間にみられる"形態進化の同調性"の解明
Project/Area Number |
15J05233
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 健太郎 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 形態進化 / 雄外部生殖器 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
外部生殖器の形態は強い性淘汰の標的となるため近縁種間であってもしばしば異なる形態を示す。本研究はキイロショウジョウバエの近縁種の雄外部生殖器をモデルに,形態進化に寄与した遺伝子を同定することで,その遺伝的変異の進化・発生・行動学的特性の解明を目指している。本年度は遺伝子同定に向け,1)QTLマッピングと2)遺伝子発現比較解析に向けた系統作成を行った。以下,それぞれの成果を報告する。 1)QTLマッピング:イントログレッション系統を用い,X染色体及び第2染色体上に存在する雄外部生殖器の形態進化に寄与したQTL領域の同定を進めた。X染色体上のQTL領域については,既存のイントログレッション系統を使用した。解析の結果,肛版の形態進化に寄与するQTLを同定した。このQTL領域は種間差の約5%に寄与し,約450kb領域以内の絞込みを完了している。第2染色体上のQTL領域については,既存のイントログレッション系統がないため,新たにイントログレッション系統の作成に着手した。作成した36のイントログレッション系統は,第2染色体の99%をカバーしており,また,現在,戻し交配13世代に到達しているため,既に解析可能な状況である。 2)遺伝子発現比較解析:高精度の解析結果を得るために,UAS/GAL4システムと細胞分離法を併用した解析を試みており,本年度はUAS/GAL4系統の作成に着手した。現在,比較する2種においてUAS-hCD4-GFP系統の作成に成功している。また,GAL4系統についてもマイクロインジェクションを成功しており,外部生殖器におけるGAL4発現の有無を確認するのみである。GAL4発現の確認後,直ちに遺伝子発現比較解析を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イントログレッション系統の作成や非モデル生物における遺伝子組換え体の作成の成功は本研究の成功の鍵を握る。新規イントログレッション系統については既に解析可能な状況にあり,また,遺伝子組換え系統の作成にも概ね成功しているので,このような評価を下した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)本年度作成した遺伝子組換え系統を駆使し,速やかに遺伝子発現比較解析をおこなう。非モデル生物を使用していることから,解析には次世代シークエンサーを用いたRNA-seqをおこなう。 2)イントログレッション系統を用いた機能的解析を進める。QTL領域の同定後,速やかに50kb程度までQTL領域の絞込みをおこなう。イントログレッション系統は可視マーカーを持つため,容易にQTL領域間で組換えをおこした個体を識別でき,大規模なスクリーニングが可能である。遺伝子型の決定には次世代シークエンサーを用い,更なる効率化を図る。 1)と2)が完了後,候補遺伝子についてゲノム編集技術を駆使し遺伝子の同定をおこなう。遺伝子の同定後,その遺伝的変異の進化・発生・行動学的特性の解明に挑む。
|
Research Products
(1 results)