2015 Fiscal Year Annual Research Report
赤外領域で三光子励起多波長検出を可能にする希土類金属プローブの創出
Project/Area Number |
15J05267
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
守友 博紀 山口大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 非線形光学 / 三光子吸収 / 多光子励起蛍光顕微鏡 / 希土類金属錯体 / フェムト秒ファイバーレーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Eu、Sm、Ybを中心金属とした三種の希土類金属錯体を用いて、誰もが使える光源で、三光子励起・三色イメージングを実証することを目指している。 平成27年度は、希土類金属錯体を取り扱い容易なフェムト秒ファイバーレーザーの発振波長である1050 nmで、高効率に三光子励起するための配位子の分子構造の決定に取り組んできた。 モデルとしてEu錯体をまず選び、種々の配位子を持つEu錯体の三光子励起発光挙動を調査した。その結果、ナフタレンを分子内に持つb-ジケトン誘導体を配位子とするEu錯体が1050 nmで高効率に三光子励起発光を示すことが明らかになった。 そこで、実際にフェムト秒ファイバーレーザーを光源として、そのEu錯体で染色された生細胞の三光子励起イメージングを試みた。フェムト秒ファイバーレーザーを搭載した多光子励起顕微鏡は現在のところ市販されていないため、本研究では自作した顕微鏡を用いた。その結果、生きた細胞中からもEu錯体由来の発光を観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度ではEu錯体をモデルに希土類金属錯体を1050 nmで高効率に三光子励起するための配位子の分子構造の決定、及びその配位子を用いてYb、Sm錯体を合成する計画であった。 種々の配位子を検討したところ、狙い通り1050 nmで三光子励起が可能なEu錯体の開発に成功し、それを用いて生細胞中での三光子励起イメージングを実証できた。残るYb、Sm錯体の合成も完了しており、それらの錯体から三光子励起発光が生じることは平成27年度中に予備的に確かめてある。したがって、計画通りに順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究により、3色の発色団それ自身はほぼ完成していると言える。なので、平成28年度は研究計画通り、これらの発色団に、任意の生体物質を染色する機能を付与するためTag Proteinの認識部位の導入に力を注ぐ。 開発したプローブは実際に三光子励起三色イメージングへと試用し、その結果を分子設計へとフィードバックしていくことで、実用上の観点で真に優れたプローブ群の開発を進める。
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Research Products
(4 results)