2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規免疫細胞サブセットを標的とした炎症性骨破壊制御法の確立
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15J05324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚崎 雅之 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 骨免疫学 / T細胞 / 破骨細胞 / RANKL |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎の骨破壊機序を解明するため、マウス歯周炎モデルを解析した。αβT細胞を欠損するTCRαのノックアウトマウスでは歯周炎による骨破壊が有意に抑制されたが、歯周炎を誘導したマウスの頸部リンパ節から得られたCD4陽性T細胞を移入することで骨破壊が増悪した。そこでヘルパーT細胞に注目し、フローサイトメトリーによる解析を行った。その結果、ヘルパーT細胞のうち、IL-17陽性細胞のみが数、頻度ともに歯周組織及びリンパ節において増加する事が明らかになった。次に、歯周炎で増加したIL-17細胞の由来について検討した。近年、我々は関節炎においてFoxp3陽性T細胞が転写因子Foxp3の発現を消失し、最強の破骨細胞分化誘導能を持つTh17細胞(exFoxp3Th17細胞)へと分化転換することを見出している。そこでフェイトマッピング解析を行った結果、歯周炎を誘導したマウスでは歯周組織と頸部リンパ節においてexFoxp3Th17細胞の数と割合が増加することが明らかとなった。さらに、exFoxp3Th17細胞をTCRαのノックアウトマウスに移入することで、歯周炎による骨破壊が有意に増悪した。 また近年、RANKL非依存性破骨細胞分化を誘導することで、がんの骨転移を促進する分子として報告されたリシルオキシダーゼ(LOX)の、破骨細胞分化における役割を検証した。その結果、LOX単独では破骨細胞分化は誘導できないが、活性酸素の産生を介して骨髄ストローマ細胞や骨芽細胞のRANKL発現を誘導することが明らかになり、RANKL依存的な破骨細胞分化を間接的に促進することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究者は平成27年度より貴会特別研究員に採用され、炎症性骨破壊のメカニズム解明と制御法の確立を目指し、精力的に研究に取り組んできた。マウス歯周炎モデルを当研究室に導入し、歯周炎の骨破壊における免疫系の役割について詳細に検討した結果、Foxp3陽性の制御性T細胞がIL-17陽性の骨破壊性T細胞(exFoxp3Th17細胞)に歯周炎組織で分化転換していることが明らかになり、この分化転換を制御することで骨破壊を抑制できることを見出した。これらの成果を国内外の学会で発表し、現在は研究成果をまとめ国際学術誌に投稿する準備を行っている。 また、近年がんの骨転移を促進する分子として注目を集めたリシルオキシダーゼ(LOX)の破骨細胞分化における役割を検証し、筆頭著者として論文を発表した。本研究はがんの骨転移機序の理解を深めるだけでなく、RANKL非依存性破骨細胞分化経路の再考を促した成果としてJournal of Bone and Mineral Research誌に掲載され、Nature Reviews Rheumatology誌のResearch highlightsや、JBMR誌のCommentaryで取り上げられた。以上のように、申請者は炎症性骨疾患の病態解明において重要な研究成果を上げており、研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Foxp3陽性T細胞から分化したexFoxp3Th17細胞が骨破壊を誘導するメカニズムを検討するため、破骨細胞分化に必須の因子であるRANKLの歯周炎における供給源を探索する。歯周炎におけるRANKL発現細胞を免疫染色やin situ hybridizationによって組織学的に明らかにし、様々な細胞種特異的にRANKLを欠損したマウスを樹立し歯周炎を誘導することで、歯周組織を構成する細胞の、炎症時におけるRANKL 供給源としてのrelative contributionを生体レベルで明らかにする。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] LOX fails to substitute for RANKL in osteoclastogenesis2017
Author(s)
Tsukasaki M, Hamada K, Okamoto K, Nagashima K, Terashima A, Komatsu N, Win S, Okamura T, Nitta T, Yasuda H, Penninger JM and Takayanagi H.
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Journal Title
Journal of Bone and Mineral Research
Volume: 32
Pages: 434-439
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Expression of nephronectin is enhanced by 1α,25-dihydroxyvitamin D32016
Author(s)
Hiranuma K, Yamada A, Kurosawa T, Aizawa R, Suzuki D, Saito Y, Nagahama R, Ikehata M, Tsukasaki M, Morimura N, Chikazu D, Maki K, Shirota T, Takami M, Yamamoto M, Iijima T, Kamijo R
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Journal Title
FEBS Open Bio
Volume: 6
Pages: 914-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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