2015 Fiscal Year Annual Research Report
海苔の有用品種作出に向けた紅藻スサビノリにおける高温応答機構の解明
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15J05434
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宇治 利樹 北海道大学, 水産科学研究院, 助教
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2016-03-31
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Keywords | アマノリ / エチレン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では当初、エチレン(ACC)と高温耐性の関連に焦点を当てて解析を行ったが、高温耐性以外の効果について以下のことが明らかとなった。スサビノリ由来のACC合成酵素遺伝子PyACSが銅およびH2O2ストレス条件下において発現が誘導されることから、エチレンがこれらのストレスに対して応答するために重要な機能をしている可能性が示唆された。そこで、ACC処理による銅ストレスやH2O2ストレス耐性の効果を調べたところ、未処理の藻体と比較して、ACC処理藻体では大量の果胞子様細胞を形成することにより、これらのストレスに適応することが明らかとなった。また長期間(2週間以上)のACC処理により、光合成色素タンパク質であるフィコエリスリン、フィコシアニンおよびクロロフィルの分解が促進されること、生殖細胞の形成が促進されることが明らかとなった。そのため、エチレンの応答機構を解明することにより、高温耐性等の環境ストレス応答機構に加えて、色落ちや有性成熟の機構の解明につながることが期待される。そしてこれらの知見は海苔の品種改良を進めていく上で重要な知見になることが予想される。
またエチレンのスサビノリに対する作用機序に関する知見を得るために、エチレンによって制御されている遺伝子群の網羅的な同定を試みた。次世代シーケンサー(イルミナ社Hiseq2000)を用いてRNA-seq解析を行った結果、ストレス耐性に関与する候補遺伝子として、カタラーゼ、分子シャペロン(DnaJ)およびプロテインキナーゼ遺伝子等の発現が、ACC処理藻体サンプルにおいて上昇することが明らかとなった。またエチレン応答性遺伝子として、RWP-RKドメインを持つ遺伝子を見出した。この遺伝子は他の生物において転写調節因子をコードすることから、スサビノリにおいても重要な機能を持つ可能性が考えられた。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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