2015 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計の時刻合わせに関わる時計タンパク質のリン酸化状態の変化と調節化合物の探索
Project/Area Number |
15J05509
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 由実 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 概日リズム / 翻訳後修飾 / リン酸化 / CK2 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1年目は、リン酸化される時計タンパク質の探索を行った。そのためには、複数のリン酸化酵素を想定して調べるべきであるが、在籍研究室においてリン酸化酵素CK2に対する阻害剤が発見され、概日リズムを乱すことがわかったばかりであったので、まず初めにCK2によるリン酸化について調べることにした。 CK2阻害剤とCK2に対する基質認識抗体を用いて、ヒト胎児腎臓細胞HEK293Tに対して時計遺伝子を導入しウェスタンブロットによりリン酸化される時計タンパク質の検出を行った。その結果、使用したリン酸化基質抗体に対する時計タンパク質を示すと考えられるバンドが検出された。また、導入する遺伝子4種類の組み合わせを変えることによって、時計タンパク質のバンドに変化があることがわかった。 並行して、老化と概日リズムをテーマとして学内の他研究室と共同研究を行った。ヒトの老化によって増加する心臓病や動脈硬化などの循環器系疾患は、発症及び死亡する時刻が特定時刻に集中しており概日リズムとの関係についての研究が重要である。血圧をコントロールする複数の因子について概日振動が報告されているが、時計タンパク質との関係の詳細がよくわかっていない。 そこで老化と概日リズムとの関係を詳しく調べるために研究を行うことにした。初代培養細胞は、継代を繰り返していくに従って分裂が遅くなりやがて寿命が尽きる。そこで老化研究では、継代を何度も繰り返した初代細胞を老化研究のモデルの一つとして使用している。時計遺伝子プロモーターによってルシフェラーゼを発現させて生物発光するような細胞を作製し、その発光リズムを計測するような系を構築した。さらに導入試薬の検討や発光測定条件の検討などをして、時計遺伝子による発光リズムについて若い細胞と老化細胞を比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究室の引っ越し先である新築の建物にシックハウスが起こり、自分自身も健康被害を受けた。そのため当初の予定から若干の遅れが生じたものの、着実に結果を出すように努力をし、発展させる可能性のある結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
時計タンパク質のリン酸化がその他の複数の時計タンパク質の存在と関係しているという手がかりを得たため、このリン酸化の意義と機構を探っていきたいと考えている。また、初代細胞の老化細胞における生物発光リズムを測定し、概日リズムへ老化が与える影響やその機構を考えていきたい。
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