2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J05511
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
郭 まいか 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 上海租界 / 会審公廨 / 二重国籍 / 上海総商会 / 国籍法 |
Outline of Annual Research Achievements |
春学期、上海華東師範大学歴史系(中国)にて研究指導委託という形で、研究・資料調査・学術交流に従事した。定期的に上海市档案館に訪れ、主に上海租界工部局議事録や上海総商会会議録などを閲覧し、会審公廨関係の一次資料を収集することができた。また、この受け入れ機関も多くの有用なデータベースを購入しているため、英文・中文問わず、雑誌や新聞の記事検索など非常にスムーズに行うことができ、様々なタイプの史料を収集することができた。また、受け入れ大学の所属ゼミにて頻繁に研究報告や発表を行い、中国近現代史を学ぶ中国の院生らと盛んに学術交流を行った。 秋からは、中国・長沙にて開催された『両岸四地歴史学研究生論文発表会』に日本の代表者として参加し、「上海公共租界対双重国籍中国人的管理-会審公廨為例」と題する報告を中国語で行った。現在、この報告論文を『両岸四地歴史学研究生論文発表会』論文集に投稿中である(査読有)。 12月末、台湾に資料調査に赴いた。台北の国士館にて中国北洋政府期の外交文書を、台湾大学図書館にて会審公廨に関連する歴史図書・論文を収集・閲覧した。更に、同じく台湾の中央研究院では近代史研究所に入っている膨大な数の国内外のデータベースにアクセスすることが可能で、貴重図書のデータ、イギリスの外務省資料館公文書史料、上海工部局警察史料を大量に入手できた。 以上の成果を踏まえ、1月中旬には京都大学人文科学研究所共同研究班『近現代中国における社会経済制度の再編』にて「上海租界二重国籍中国人問題―会審公廨と上海総商会を中心に」というテーマで研究発表を行った。これをもとに、現在論文を執筆中である。 2月には2015年度京都大学南京大学社会学人類学若手ワークショップ『東アジア若手人文社会学者ワークショップ』に参加し、報告へのコメントと自身の研究紹介を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はイギリスに調査に行く予定であったが、ヨーロッパでテロが発生したことなど、当時の国際状況から判断し、本年度の予定を変更した。しかし、12月末に赴いた台湾での資料調査で、イギリスのFO資料も収集できたので、結果的にはそれほどの遅れは見られなかったといえよう。また、このテーマでの論文もほぼ投稿可能な状態であり、かつ、28年度の研究計画にも取り掛かっているため、現時点でおおむね順調といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
博士論文の具体的な構想を固めることも視野に入れ、今年度の早い段階でイギリスに資料調査に赴く。そこで、会審公廨日本人関係(租界の日本人関係)の資料を中心に収集し、さらにその次のテーマとして取り扱う可能性のある警察権と領事館関係の資料状況を確認したい。そして、以上の調査にもとづき、会審公廨における日本人のプレゼンスについて学会発表を行い、論文を執筆し、学術雑誌に投稿する。 また、機会があれば本年度中に一度国際学会で報告したい。
|
Research Products
(3 results)