2015 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性人工核酸BNAを用いたスプライシング制御に関する研究
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15J05689
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下 剛典 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 核酸医薬品 / 核酸化学 / スプライシング制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は当分野で合成に成功した各種架橋型人工核酸を導入したSSOの最適な配列設計を目的としている。本年度実施した研究内容は以下2点である。1点目は、蛍光を利用した評価系細胞株の構築と、これを用いたLNA導入SSOスクリーニングの実施である。また2点目は、新規架橋型人工核酸であるAmNA導入SSOに関するエキソンスキッピング活性の評価である。以下に順に示す。 1. エキソンスキッピング活性を蛍光タンパク質の発現量により評価可能な系を構築すれば、一度に数多くのSSOについてその活性を解析する事が可能となる。そこで以下の安定発現細胞株を構築した。まずpcDNA5/FRTベクターに対して、EGFP及びTag-RFPをコードする遺伝子をそれぞれ組み、上流域にDMD遺伝子のエキソン51周辺領域を組み込んだ。以上よりDMD遺伝子エキソン51のスキッピングの有無を2色の蛍光タンパク質の発現量にて評価可能なプラスミドを構築した。構築したプラスミドはFlp-Inシステムを利用して、別途構築したTag-BFP安定発現Flp-In CHO細胞株のゲノムDNA配列中に導入した。構築した細胞株を用いてLNA導入SSOを用いたスクリーニングを実施した。結果、特にカクテル投与を実施した場合に、高効率でエキソンスキッピング活性を示す標的領域を複数確認できた。今後、既存の人工核酸からなるSSOと活性の比較を実施する予定である。 2. AmNAは5員環アミド構造を有する架橋型人工核酸である。AmNA導入SSOを合成し、過去に構築した評価系細胞株にてエキソンスキッピング活性の評価を実施した。結果、AmNA導入SSOは、LNA導入SSOに比較して、エキソンスキッピング活性が向上する傾向にあることを見出した。今後は、AmNA導入SSOの最適な配列デザインを検討し活性向上のメカニズムを検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に示したように構築した評価系細胞株を用いてスクリーニングを実施し、エキソンスキッピングを惹起可能なLNA導入SSOの標的配列を明らかにする事ができた。また新規架橋型人工核酸であるAmNAを導入したSSOについてin vitroにおいて検討を実施し、LNA導入SSOを上回る活性を示すことを明らかにする事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、LNA導入SSOの最適な配列設計に関する知見を一層明らかにする事ができた。今後は、LNA導入SSOの配列設計を検討する過程で明らかとなっている課題(塩基長の増大に伴うエキソンスキッピング活性の低下等)を念頭に、適宜用いる人工修飾核酸を変更しながら更なる配列設計の最適化を行う事とする。 一方、構築した評価系を利用して新規架橋型人工核酸類を導入したSSOのエキソンスキッピング活性の検討を行う。これらの検討を通じて、高い活性を示した架橋型人工核酸類については、その活性向上のメカニズムについても順次検討を行う事としている。
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