2015 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム結合タンパク質Efp遺伝子改変マウスを用いた自己免疫性関節炎の研究
Project/Area Number |
15J05761
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 真以亜 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 免疫 / T細胞 / 自己免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、自己免疫性関節炎発症の根幹である自己反応性T細胞の発生機構を明らかにすることを目指す。本年度は、胸腺におけるT細胞レパトア制御機構の解明を目的とし、以下2つの側面から研究を行った。 ①カルシウム結合タンパク質EfpのT細胞における機能解析:T細胞特異Efp欠損マウスの胸腺細胞にin vitroでTCR刺激を誘導し、TCRシグナル下流分子のリン酸化状態を解析した。さらに、現在トランスクリプトーム解析結果やリアルタイムPCR法を用いて、胸腺細胞の生存や増殖、分化に関連する既知遺伝子の発現を検証している。 ②翻訳後修飾によるT細胞レパトアの制御:T細胞にTCR刺激を誘導すると、ある種の翻訳後修飾が増加することを見出した。着目した翻訳後修飾機構は、転写制御やスプライシング制御など様々な生命現象を担っているが、T細胞における実態は不明である。今回、我々はこの翻訳後修飾を媒介する修飾酵素の発現も、TCR刺激に伴って上昇することを認めた。本修飾酵素のT細胞レパトア制御における機能を検証するために、我々は本修飾酵素の該当遺伝子のfloxedマウスを独自に作製した。本マウスとT細胞特異的にCreを発現するマウスを交配させ、T細胞特異的欠損マウスを得た。今後、T細胞特異的欠損マウスを用いて、胸腺T細胞レパトア制御における当該タンパク質の機能を検証していく。 本研究は、T細胞レパトアの新たな制御機構を提唱するものであり、自己免疫疾患発症メカニズムの分子基盤の提供へと繋がる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画どおりに、T細胞特異Efp欠損マウスより胸腺細胞を単離し、in vitroでTCR刺激を誘導してTCRシグナル下流分子のリン酸化状態を解析した。また、T細胞特異Efp欠損マウスの胸腺細胞を用いたトランスクリプトーム解析やリアルタイムPCR法の結果から、胸腺細胞の生存や増殖、分化に関連する既知遺伝子の発現を検証することによって、胸腺細胞におけるEfp関連シグナルの解析を進めている。 一方、ある種の翻訳後修飾酵素がTCRシグナル下流で発現上昇するという興味深い知見を認めた。当該タンパク質のT細胞における機能を検証するために、T細胞特異的遺伝子欠損マウスを作製した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はカルシウム結合タンパク質EfpがT細胞レパトアを制御する分子メカニズムをより詳細に解明していく。Efpとビッグデータ解析に基づく関節リウマチ感受性遺伝子との関連性の解析を実施していくことを予定している。 また、翻訳後修飾酵素のT細胞特異的欠損マウスを用いて、当該タンパク質のT細胞、特にレパトア制御における機能を検証していく。
|
Research Products
(4 results)