2015 Fiscal Year Annual Research Report
CXCR4を標的とする低分子HIV-1侵入阻害剤の創製研究
Project/Area Number |
15J05835
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
武富 昇平 東京医科歯科大学, メディシナルケミストリー分野, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | TR-FRET / CXCR4 / T140 / lumi4 / screening / AMD3100 / bis-aromatics / DY647P1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CXCR4を標的とするFRETアッセイ法に用いる競合プローブを開発するために、インバースアゴニストT140から誘導されたAc-TZ14011に対する蛍光ラベル化を行った。FRET acceptorに必要な蛍光吸収波長を有するcyanineの一種、DY647P1とfluoresceinの二種類を導入したAc-TZ14011誘導体をそれぞれ合成した。そして、lumi4-Tbは文献 (Raymond, K. N. et al., J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 19900-19910.) に従い31段階で合成した。lumi4-Tbのアルキルアミン部位にリンカーを介してベンジルグアニンを導入した。一方、ベンジルグアニンを認識するSNAP-tagを遺伝子工学的手法によりCXCR4のN末端に導入し、哺乳類細胞上に発現させたのち、lumi4-Tb誘導体を細胞へ導入し、蛍光性Ac-TZ14011を添加した。蛍光プローブの濃度推移に伴うFRETの蛍光強度の飽和曲線を作製し、上述したプローブの解離定数値を算出したところ、それぞれ833, 343 nMという値であることがそれぞれ判明した。さらにfluoresceinでラベル化したAc-TZ14011を用いたアッセイ系においては、既知CXCR4リガンドであるFC131の結合活性を評価する際に低温条件でインキュベーションを行うことが重要であることが判明し、温度依存的なCXCR4の内在化の抑制が本アッセイ系を立ち上げる上での鍵であることが示唆された。つづいて、新規CXCR4低分子リガンドの創製に着手した。見出されていた高いCXCR4結合活性を有するSKA028の構造を基に、活性に大きく寄与するスペーサー部位を二環性芳香環へと変更することで、より高いCXCR4結合活性を示すリガンドの創製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用第1年度は「CXCR4を標的とする時間分解型FRETを用いたアッセイ系の開発」に取り組んだ。CXCR4に導入する蛍光基lumi4-Tbと、結合するペプチド性蛍光プローブをそれぞれ合成し、哺乳類細胞を使った系において、既知CXCR4リガンドFC131の結合活性を評価しており、更なるアッセイ条件の検討と、再現性の確認に取り組んでいる。さらに、採用第2年度に予定されていた「低分子CXCR4リガンドの構造活性相関研究」にも取り組んでおり、新しい有効なスペーサー構造を用い、基となる化合物を上回るCXCR4結合活性を有する新規リガンドの創製に成功した。現在はこの得られた新しい骨格を基に、最適なカチオン性配位子の置換位置の探索を行っている。以上のことから、本研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究において見出した、高いCXCR4結合活性を有する新規低分子リガンドSTK731の骨格を基にして、蛍光性Ac-TZ14011を用いたアッセイ法を活用し、構造の更なる最適化を試みる。STK731のカチオン性配位子として用いているサイクラムは、その窒素原子数が過剰であり、関連する研究ではこの構造が心臓毒性発現の原因になっていることが報告されているため、より少ない窒素原子数を含む配位子による代替を試みる。そして、創製したリガンドはラセミ体であるため、鏡像異性体を分離してそれぞれのCXCR4に対する結合活性を評価することにより、高い結合活性の発現に最適なコンフォメーションを探索する。さらに、スペーサーとして用いている二つの芳香環の二面角の変化が、創製した新規リガンドのCXCR4結合活性と抗HIV-1活性に与える影響を精査する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Exploration of labeling by near infrared dyes of the polyproline linker for bivalent-type CXCR4 ligands.2015
Author(s)
Nomura, W., Aikawa, H., Taketomi, S., Tanabe, M., Mizuguchi, T., Tamamura, H
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Journal Title
Bioorg. Med. Chem.
Volume: 23
Pages: 6967-6973
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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