2015 Fiscal Year Annual Research Report
人工光合成を指向した量子ドット光増感剤の表面機能化研究
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15J05927
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤口 加奈 北海道大学, 総合化学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 表面欠陥 / 電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、量子ドットを活用した人口光合成系の構築である。その達成のため、通常量子ドットの保護に用いられる、表面保護配位子を機能化し、電子移動に方向性を持たせることを計画している。 当該年度では、新規表面保護配位子を導入し、その表面保護配位子で単一保護を行った場合の量子ドットの状態を確認することを計画していた。特性の確認できたCdSe量子ドットの種類は、予定よりも少なかったものの、表面保護配位子の構造が量子ドットの表面に与える影響が明らかになった。芳香環を有するものと有していないものを比較した結果、芳香環を有している場合では、量子ドットの表面状態に大きな影響を与えなかったものの、芳香環が存在しない、もしくは量子ドットへの配位官能基から遠くなると、量子ドットの表面状態が表面保護配位子によって変化することがわかった。すなわち、芳香環がないことによって、量子ドットの表面に欠陥が生じていた。この違いについて、表面保護配位子の異なるCdSe量子ドットの発光スペクトル・光電子分光法で確認を行った。 表面保護配位子に起因した量子ドットの性質の違いは、水素発生反応の効率にも見られた。芳香環を有していない表面保護配位子を用いた場合の方が、水素がよく発生した。これは、表面欠陥の準位に励起状態の量子ドットに励起電子が移動したためであり、表面欠陥が水素発生および電荷分離過程によく作用していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規の表面保護配位子の合成および精製に時間を要したため
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を踏まえて、表面保護配位子の再設計および合成を行う。 表面保護配位子は、配位子置換反応を行う際に多量に必要になるため、簡便な合成・精製ができることが望ましい。 当初の合成ルートでは必要な量の表面保護配位子を確保することが困難であるため、再設計を行う必要がある。
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Research Products
(4 results)