2015 Fiscal Year Annual Research Report
非天然型アミノ酸を利用した膜透過性ペプチドの創製とそのDDSキャリアとしての応用
Project/Area Number |
15J05945
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
加藤 巧馬 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 膜透過性ペプチド / ドラッグデリバリーシステム / 非天然型アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
非天然型アミノ酸を用いた膜透過性ペプチドの有用性を評価するために、側鎖にジアミン構造を有する新規非天然型アミノ酸とそのホモペプチドの合成を行った。また、ペプチド二次構造制御の観点から新規ジ置換アミノ酸とその含有ヘテロペプチドの合成を行った。これらのペプチドの二次構造解析ならびに膜透過性評価、さらに遺伝子デリバリーへの応用についても検討した。 側鎖にジアミン構造を有するアミノ酸ならびにペプチドの合成と評価:側鎖にアミノエチル基を有するリシン(Lys(AEt))と側鎖にグアニジニルエチル基を有するリシン(Lys(GEt))の二種類のアミノ酸とそれらのホモノナペプチドを合成し、細胞膜透過性の評価と遺伝子導入実験を行った。その結果、Lys(GEt)からなるホモペプチドが比較的低濃度において最も良い膜透過性を示し、遺伝子導入実験でも効率的なエンドソーム脱出と良い遺伝子導入効率を示した。 新規ジ置換アミノ酸とその含有ヘテロペプチドの合成と評価:五員環状ジ置換アミノ酸の側鎖にアミノ基ないしグアニジノ基を一つ有するジ置換アミノ酸を新たに合成し、R9ペプチド(アルギニン(Arg:R)の9量体)をベース配列として、ジ置換アミノ酸を3残基ごとに3つ導入したペプチドを合成した。CDスペクトルの測定により溶液状態でのペプチド二次構造解析、膜透過性機能の評価、遺伝子デリバリーへの応用を行った。その結果、ジ置換アミノ酸を導入したペプチドはヘリカル構造が安定化されていることや、細胞との接触時間依存的に細胞内取り込み量が増加することが明らかになった。遺伝子導入実験の結果、ジ置換アミノ酸を含有するペプチドは、R9ペプチドと比較して有意に遺伝子導入効率が高く、持続的な遺伝子発現が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、平成27年度には「分子モデリング」、「ジ置換アミノ酸とペプチドの合成」および「ペプチド二次構造解析」を行う予定であった。予定通り、新たなジ置換アミノ酸の合成を達成し、分子モデリングに基づくペプチドの設計と合成、およびそれらのペプチドの二次構造解析を達成することができた。また、ジ置換アミノ酸のみならず、非天然型のアミノ酸とその含有ペプチドも合成し評価を行うことで、非天然型アミノ酸を利用した膜透過性ペプチドの創製に役立つ知見が多く得られた。さらに、予定を前倒しする形で、これらペプチドの膜透過性やDDSキャリアとしての応用についての検討も始めることができていることから、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ペプチドをDDSキャリアとして用いたプラスミドDNAデリバリーについて、その細胞内への取り込み機構などの検討を行っており、引き続きペプチドを用いた遺伝子導入実験を行っていく予定である。また、平成27年度中にジ置換アミノ酸を用いたペプチドについては市販の遺伝子導入試薬に比べて持続的な遺伝子導入が可能であることが明らかになったが、その詳細な機構についても調査を進める。また、ここまでで得られた知見を基に、カチオン性基の数を増やすなどした新たなジ置換アミノ酸などを合成し、より良い膜透過性ペプチドの開発も行っていく。
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Research Products
(10 results)