2016 Fiscal Year Annual Research Report
遊離代謝物を用いた13C代謝フラックス解析法の構築と動物細胞代謝プロセスへの応用
Project/Area Number |
15J05988
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡橋 伸幸 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 13C代謝フラックス解析 / がん細胞 / 中心炭素代謝 / p53変異 / 絶対定量 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、疾患細胞に特異的な代謝が報告されており、細胞内代謝の計測ニーズが高まっている。代謝を直接的に理解するためには、代謝フラックス(反応速度)を計測する13C代謝フラックス解析法が有効である。昨年度の研究では、遊離代謝物の13C標識割合を計測することで培養がん細胞に適用可能な代謝フラックス解析法を構築し、既知の代謝阻害剤を用いて解析法の妥当性を検証することができた。そこで本年度は、構築した手法を用いてがん抑制遺伝子p53の変異が中枢代謝経路に与える影響のフラックスレベルでの解明に取り組んだ。 まず、p53欠損マウス軟部腫瘍由来細胞株(コントロール株)にレトロウィルスベクターを用いて変異型p53を再構成した(p53mut株)。両株の比増殖速度に有意な差はみられなかった。一方、細胞内代謝物の絶対定量を行ったところ、p53mut株では細胞内ピルビン酸やクエン酸の蓄積量がコントロール株に比べて61%、52%に減少していた。このことから、変異型p53が中枢代謝経路のフラックスに影響を与えていることが示唆された。そこで、コントロール株とp53mut株を [1-13C]グルコースを含む培地で24時間培養し、13C代謝フラックス解析を行った。ガスクロマトグラフ質量分析装置で細胞内遊離代謝物の13C標識割合を計測し、フラックス分布を推定することができた。ペントースリン酸経路のフラックスには変化がなかったのに対し、p53mut株では、解糖系のフラックスがコントロール株の80%程度に減少していた。また、グルタミンの取り込みやTCAサイクル、リンゴ酸酵素のフラックスも70~80%程度に減少していた。以上の結果より、変異型p53は中枢代謝経路のうち解糖系とTCAサイクルのフラックスを負に制御していることが明らかとなった。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)