2015 Fiscal Year Annual Research Report
現代インドのダリト解放運動:差別と公衆衛生をめぐるグローカル・ネットワーク
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15J06009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増木 優衣 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | カースト間関係 / 水洗トイレ / 清掃人カースト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず4月の南アジア修論・博論発表会にて、修士論文の発表を行い、博士論文に向けた有意義な知見を得た。6月にはカナダで開催された人文学のための国際会議に出席し、「現代インドのダリト解放運動」に関して、とりわけ差別に焦点を当てた口頭発表を行った。インドの文脈だけではなく、グローバルな視点から差別問題を考察するよい機会となった。さらに、当該会議で口頭発表した内容を、学会誌"International Journal of Civic, Political, and Community Studies"へ投稿し、掲載された(査読付き)。 9月から3月にかけ、インド・ラージャスターン州において、NGOが運営する清掃人カーストのための職業訓練施設での参与観察を行った。とりわけ、現地における差別的なカースト間社会関係がいかに変容しているのかに関して、長期フィールドワークに基づいた調査を行った。そのなかで、清掃人カーストおよびその他住民へのライフヒストリーやナラティブの聞き取り調査も行った。首都ニューデリーに位置するNGOの本部を訪れ、ダリト解放に向けた一連の活動の理念などに関しても、簡単な聞き取り調査を行った。合計6か月のフィールドワークの間、インド国内で開催された二つの国際会議に出席し、水洗トイレ普及運動に関する内容と、NGO活動に関する内容で口頭発表を行い、インド国内のインド研究者の視点から知見を得ることが出来た。また、大学関係者から現地大学を訪問する機会を頂き、学生とのインタラクションを通じてインド人若年層がカースト間関係とダリト差別に関してどのような観点を持っているのかに接近することが出来、有意義であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4月の南アジア学会の発表に始まり、6月の国際会議での口頭発表、9月から3月にかけてのフィールドワークと、当初の目的通り進んでいる。5月に投稿予定であった『文化人類学』への論文執筆は、フィールドワーク前に完成させることがままならず、投稿予定であった一部を"International Journal of Civic, Political, and Community Studies"へ投稿したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、まず『文化人類学』へ投稿するための論文執筆を完成させることが第一目標として挙げられる。その後、長期フィールドワークで得たデータ整理をもとに、水洗トイレと公衆衛生をめぐるグローカル・ネットワークに焦点を当てた論文を一本執筆し、『南アジア』などの学会誌へ投稿する。不足しているデータは、短期フィールドワークにて再収集する予定である。
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Research Products
(4 results)