2017 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半の南米におけるオリエンタリズムの思想史的研究:日本移民の言論活動から
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15J06035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ガラシーノ ファクンド 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 日本移民史 / 植民思想 / 帝国意識 / 入植者コロニアリズム / 帝国日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度では、1920年代から1930年代にかけて日本の民間団体と企業が主導したブラジルを中心とする南米への移民をめぐる言論、思想、実践や事業を研究した。その際、日本力行会第2代会長・永田稠と、アマゾニア産業研究所の組織者と指導者であった上塚司の思想と実践にとりわけ着目した。その結果、これら民間の移民事業の指導者がアジア・太平洋地域を含めた日本帝国のグローバルな展開を意識しつつ、南米を日本帝国や「大和民族」の最終的な発展の舞台と認識する特有のプロジェクトを構想し、実践したことを明らかにした。これらの研究成果は、国際学術大会で公表した。 日本力行会とは、海外移住を希望する青年男女の教育、渡航の支援や斡旋などを行ったキリスト教系の民間団体である。同会は1897年に創立され、戦後にいたるまで米国、中南米や「満洲国」下の中国東北部への移民とかかわってきたが、本年度では、第2代会長・永田稠の言論と活動をとりわけ分析した。その結果、永田は、自身が指導する力行会によるブラジルでの移住と開拓事業を、満洲移民や植民地時代以来の南米におけるヨーロッパ各地からの移民との差異を強調しつつ、植民地主義的暴力を伴わない「大和民族」による「新建国」として構想し、実践しようとしたことが明らかになった。 さらに、アマゾニア産業研究所とは、政治家や教育者であった上塚司によって1930年に創立され、ブラジルのアマゾン地域で農業開発に関する調査、実験栽培と人材育成に取り組んだ財団法人であった。上塚が指導するアマゾニア産業研究所は、ブラジルの連邦政府や州政府が進める移民政策と協同しつつ、「人類の手の及ばざる大自然界」たるアマゾンを拓くべく移住や実験的農業を行うことによって、先住民、白人系ブラジル人やヨーロッパ系移民を凌駕して、「大和民族」の「新社会」を構築することを構想していたのである。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)