2017 Fiscal Year Annual Research Report
人工種苗マダイにおける行動特性の形成メカニズムと実用的訓練技術の開発
Project/Area Number |
15J06124
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
髙橋 宏司 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 学習 / 栽培漁業 / 訓練 / 放流魚 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、ストレス経験による訓練効果の検討、ストレス訓練効果の生理学的検証およびストレス訓練成立機構の検討を行った。ストレス経験による訓練効果の検討として、マダイを用いたストレス負荷訓練を行った。実験では、1日2回の30秒空中暴露ストレスを10日間継続して行い、翌日に行動テストを行った。行動テストでは、環境移行ストレスおよび狭環境ストレスを与えた直後に給餌を行い、摂餌までの時間からストレスからの立ち直りやすさを評価した。環境移行ストレスでは訓練区と対照区で摂餌速度に差はなかったが、狭環境ストレスでは訓練個体の摂餌速度が早かった。このことから、日常的な空中暴露ストレス経験によって、質的に異なる狭環境ストレスに対しても耐性が備えられることが示された。 ストレス訓練効果の生理学的検証では、キンギョを用いて1日2試行の手網追尾ストレスを3週間与えた翌々日にストレス負荷テストを行った。ストレス負荷では飼育水温を急激に加温し、負荷90分後の血中グルコース量を測定した。訓練個体の血中グルコース量は対照個体よりも有意に低く、訓練個体のストレス耐性が向上している可能性が示された。 ストレス訓練成立機構の検討として、マダイを対象にストレスホルモン添加による行動改善効果を調べた。コルチゾール配合飼料を10日間継続して与えて、翌日に行動テストを行った。テストでは、警戒反応テストと環境移行摂餌テストを行った。警戒反応テストでは処理間に行動の違いはみられなかったが、摂餌テストではコルチゾール処理個体の摂餌速度が対照区よりも早かった。このことは、日常的にコルチゾールを経験することでストレス耐性が向上していることを示唆しており、ストレス耐性の獲得はストレスホルモンの日常的な経験によって成立していると考えられた。以上の成果より、種苗の行動改善技術としてストレス負荷訓練が効果的である可能性が示された。
|
Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)