2016 Fiscal Year Annual Research Report
G1期のダイナミックな変化を介した神経前駆細胞の細胞周期停止メカニズム
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15J06259
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮下 聡 早稲田大学, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 小脳顆粒細胞 / 神経発生 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、申請書年次計画(2)G1期の長さと細胞周期の関係 に基づき、細胞周期の停止に関わると考えられる候補遺伝子を抽出し、G1期の長さに応じた発現量の変化を調べる計画であった。 Atoh1-GFPマウスの解析や免疫染色法を用いた解析により、いくつかの候補遺伝子を同定することに成功した。当初は、これらの遺伝子の発現の変化を、その遺伝子のプロモーター領域の下流にLuciferaseをつなげたベクターを用いて解析する予定であったが、Crispr-Cas9を用いた解析系に変更し、その準備を進めている。Crispr-Cas9ベクターを用いて、内在性のタンパクにGFPを結合させるか、内在的なプロモーターの下流にGFPをノックインすることで、内在的なタンパクの発現やプロモーターの活性を継時的に観察することが可能となる。しかし、GCPsを用いてこれらの解析が行われた例は報告されていないため、まずは、GCPsにおいてこのような解析が可能かを確かめる必要がある。これらの解析に用いるベクターを共同研究先から譲渡していただき、GCPsにおいて、Crispr-Cas9による遺伝子組替えがどのくらいの頻度で起こるのかを解析している。これまでに、ポジティブコントロールを用いた系によって、GCPsにおいても、Crispr-Cas9による遺伝子組換えが起こること、さらに小脳スライス培養のライブイメージングで遺伝子組換えによって発現したGFPを観察できることを確かめることができた。このことは、本課題を遂行していく上で、重要な実験系の開発であると同時に、小脳顆粒細胞においてCrispr-Cas9を用いて、生体内における遺伝子組み換えを実現できたという点で非常に重要な結果であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究全体は順調に遂行しており、研究課題を達成する上で重要なデータを得ることができている。特に、G1期において発現量が変化する遺伝子の候補を同定することができたこと、また、Crispr-Cas9を用いてターゲット遺伝子の発現量変化を観察する系を立ち上げたことは、次年度の研究につながる重要な進展であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、G1期に発現量が変化すると考えられる候補遺伝子の内在的なタンパク量の変化をCrispr-Cas9によって可視化し、観察する系の解析を行う。さらに、それらの遺伝子の機能をノックダウン実験や過剰発現実験を用いて解析する。
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