2017 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の新規創薬標的としてのミトコンドリア融合阻害因子MIFIの機能解析
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15J06322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 直紀 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / パーキンソン病 / 呼吸鎖複合体Ⅰ |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)は、60歳以上の1%が罹患する神経難病であり、その病態解明と根本的治療法の確立が急務とされている。ミトコンドリア蛋白質MIFIは、中脳で高発現しているが、PDとの関連は明らかでない。そこで本年度は、MIFIの創薬標的としての意義を明らかにすることを目的とし、in vivo PDモデルを用いてMIFIの機能解析を進めた。
前年度作製したMIFIヘテロ欠損マウスを用い、MIFIの発現抑制がin vivo PDモデルの病態に与える影響を評価した。rotarod testを用いて運動能力を評価したところ、PD毒であるMPTPによって、野生型マウスの運動能力は大きく障害されたが、MIFIヘテロ欠損マウスではMPTPによる運動障害が認められなかった。また、MPTPを投与した野生型とMIFIヘテロ欠損マウスの黒質におけるドパミン神経細胞死を組織化学的手法により評価した結果、MPTPによるドパミン神経細胞数の減少は、MIFIヘテロ欠損マウスではほぼ完全に抑制された。次に、MPTPを投与したマウスの中脳におけるcomplexⅠの機能を評価した。その結果、MIFIヘテロ欠損マウスの中脳サンプルではMPTPによるcomplexⅠの活性低下や複合体形成の障害が抑制された。また、マウス脳サンプルにおいて、内在性のMIFIはcomplexⅠと共免疫沈降された。これらの結果から、神経系においてMIFIは、complexⅠとの物理的な相互作用を通じ、その機能を制御する可能性が示された。
以上の成果は、MIFIの発現抑制がPDを防ぐ新たな治療標的になることを示すとともに、MIFIを介したcomplex Iの活性制御がドパミン神経細胞死を防ぐという、PDに対する既存薬とは異なった治療戦略を提供するものと考えられる。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)