2015 Fiscal Year Annual Research Report
迅速に骨接合する歯科矯正用骨膜下アンカレッジデバイスの開発
Project/Area Number |
15J06344
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上園 将慶 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 骨膜下デバイス / 骨接合 / 歯科矯正 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工歯根や人工関節に代表される医療用インプラントデバイスは骨内へ埋入することで固定されている.従ってこれらのデバイスの埋入には神経,血管等の組織を損傷する危険性が伴うため,特に頭頸部領域ではデバイスの適応が制限されており,デバイスと骨の新しい接合方法が望まれている.そこで本研究では,安全性の高い骨接合を可能とするデバイスとして考案した中空のピン構造を有した新規骨膜下デバイスの有効性について検討を行う.初年度にあたる2015年度は新規デバイスの骨接合状態の検証を行った. 1-1 生体外でのデバイス形状の最適化.動物実験に先立ち,チタンパイプで作製した試作デバイスを顎骨の摘出標本に設置する予備実験を行ったところ,短い軸部が仇となり軸部と屈曲部の境界に応力集中して永久変形し,充分な初期固定が得られなかった.そこで軸部のスリットと連続した開口部を屈曲部に設ける形状を考案した.この形状では応力が開口部で分散されるため,軸部が永久変形せず良好な初期固定が得られた. 1-2 生体内での骨接合状態の検証.ラットの脛骨に生体外の予備実験で考案した形状のデバイスを設置した.設置後4週間で周囲骨と一塊に試料を摘出し,マイクロCTおよび組織学的観察と力学試験で評価を行った.マイクロCTおよび組織学的観察では,軸内部で皮質骨と同等の高さに限局した新生骨形成が認められた.また骨表面の屈曲部を被覆するような新生骨形成は認められなかったが,スリットと連続した開口部では新生骨形成が認められた.力学試験では,既存のインプラントデバイスと比較した結果,新規デバイスでは既存のデバイスと比較し同等かそれ以上の接合強度を有するという結果が得られた. 以上の結果は”医療用デバイス、歯科用、頭頸部外科用及び整形外科用デバイス構造、並びに骨への医療用デバイスの接合方法”としてまとめ,国内特許および国際特許PCT出願を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定外の懸案事項が多発し,研究計画にやや遅れが生じているが,受入研究室から自分で発想できなかった視点からの助言もあり,大幅な研究計画の変更には至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度では,軸内部から骨原性細胞が遊走するという仮説をさらに検証するため,軸部上端を閉鎖したデバイスでも動物実験を行う予定である.今年度にも軸部上端が閉鎖されたデバイスの自作を試みたが不可能であったため,2016年度の予算が執行し次第,精密加工を得意とする作製業者へ委託する方針である.またラットの実験と並行し,2017年度に予定しているマイクロピッグをもちいた前臨床試験のための予備実験にも着手予定である. 総合的には,想定外の事象に対する事前準備が不十分であること,研究成果の実用化を意識するあまり論文執筆が遅れていることが来年度以降の改善点である.
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Research Products
(7 results)