2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハイポキシア関連疾患を標的とする核酸医薬開発を指向した人工核酸の創製
Project/Area Number |
15J06402
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上松 亮平 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチドリボ核酸 / ハイポキシア / 核酸医薬 / フェニルボロン酸 / Hammett則 / キメラ人工核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ペプチドリボ核酸(PRNA)の次世代型核酸医薬への展開を目指し、細胞内pH応答に基づいたPRNAへのハイポキシア細胞特異的な薬効発現機能の付与を検討した。ハイポキシア細胞特異的な薬効発現のために、正常細胞とハイポキシア細胞での細胞内pHの差異に着目し、この差異をボロン酸エステル形成-解離に誘起される塩基部配向変化に基づいたPRNAの薬効制御を行うトリガーとした。トリガーとする細胞内pHは疾患の種類や部位により多様性を有すると報告されているため、正確な標的特異性を付与するにはPRNAが薬効発現するpH(作動pH)の精緻な制御が求められる。そこで、PRNAの分子内にフェニルボロン酸(PBA)を導入し、PBAの芳香環上の置換基を種々検討することで作動pHの最適化に取り組んだ。 PBAを分子内に有する新規PRNA分子(PRNA-PBA)の合成するためにカルボキシル基を有するPBAを活性エステル化し、足場としてリシン残基を導入したPRNAとカップリングした結果、目的物がほぼ定量的に得られPRNA-PBAの合成法を確立した。さらにこの合成法によってDNAとのキメラ人工核酸(PRNA-DNAキメラ人工核酸)へもフェニルボロン酸導入が可能となった。 また、種々の官能基を有するPRNA-PBAを合成し、PRNAの作動pHを測定したところ、作動pHはHammett則に従うことが明らかになった。Hammett則を活用することで作動pHを自在に調整し、多様な病原細胞内pHに対応可能となった。また、PRNAの薬効発現制御の鍵となるPBAとcis-ジオールによる環状ボロン酸エステル化反応は応用例が数多くあるが、Hammett則に基づく定量的議論は意外に少なく、本研究の結果は核酸医薬開発だけでなく、その他の応用にも重要な知見を与えるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、リシン残基側鎖にPBAを導入したモノマーを用い、一般的なペプチド固相合成法によるPRNA-PBA合成を試みたが、副反応により収率が大幅に低下した。収率改善のために、カルボキシル基を有するPBAを活性エステル化し、足場としてリシン残基を導入したPRNAとカップリングした結果、目的物がほぼ定量的に得られPRNA-PBAの合成法を確立した。さらにこの合成法により、PRNAのみならず、無細胞合成系でのアンチセンス実験に展開が可能なPRNA-DNAキメラ人工核酸にもフェニルボロン酸を導入可能だった。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も引き続き、ハイポキシア特異的核酸医薬の創製を目指した研究を推進する。今年度に合成を達成したPBAを分子内に含むPRNA-DNAキメラ人工核酸を用い、RNase Hを活用する触媒的アンチセンス法により、標的RNAに対し少量であっても十分なアンチセンス効果を示し、さらにpH環境によってその効果が制御可能であることを示す。具体的には無細胞合成系においてmRNAを標的とし、ハイポキシア細胞内に相当するpH6.2付近ではアンチセンス効果を発揮するが、正常細胞内に相当するpH7.2付近ではアンチセンス効果を喪失することを示す。 さらに、無細胞合成系での結果を踏まえ、細胞系、動物実験系へも展開する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Module Strategy for Peptide Ribonucleic Acid (PRNA)-DNA and PRNA-Peptide Nucleic Acid (PNA)-DNA Chimeras: Synthesis and Interaction of Chimeras with DNA and RNA2016
Author(s)
Uematsu, R.; Inagaki, M.; Asai, M.; Sugai, H.; Maeda, Y.; Nagami, A.; Sato, H.; Sakamoto, S.; Araki, Y.; Nishijima, M.; Inoue, Y.; Wada, T
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Journal Title
Chemistry Letters
Volume: 45
Pages: 350-352
DOI
Peer Reviewed
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