2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J06457
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 拓磨 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | (g,K)加群 / 可換環 / 底変換定理 / 主系列表現 / Zuckerman関手 / Borel-Weil誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
可換環上の(g,K)加群の研究を行った。特に可換環k上定義されたHarish-Chandra対の射に対して定義される関手Iの記述をいくらかの特別な場合に行った。 まずリー群SU(1,1)とその放物部分群から自然に得られる、1/2を含む環上定義されたHarish-Chandra対の射の場合にはkが複素数体の時と同様の具体的な記述を持つことがわかった。例えばSU(1,1)の主系列表現の自然なZ[1/2]-形式は右随伴性を満たす。またこの研究の途上でトーラスなどの特別な場合にHecke環の理論を構築し、対応する特別な場合に双対Zuckerman関手の定義を得た。またこの放物誘導関手Iは右随伴を持つことを証明した。 次に、関手Iによって得られる表現に関する情報をkが複素数体や有理数体などの場合から引き出すために2つの方法をこの研究に導入した。一つは底変換を行うことでこれは体拡大の場合にはすでにF.Januszewski氏によって使われていた。もう1つはコンパクト対象について論じることであり、この概念は圏論の中で深く研究されてきた。これら2つの技法を用いることで私は関手Iに関する新しい底変換定理を証明した。 この応用として私は2つの場合にIの良い記述を見つけることができた。ひとつは整数環Z上の分裂簡約群に対するBorel-Weil型誘導の場合である。この場合、有理数体上の絶対既約表現のうち固定された最高ウェイト空間Zをもつ整形式で最大のものが得られるとわかった。もう1つの場合はIがZuckerman関手の場合であり、特定の条件下で複素数体上と同様の記述を持つことを示した。つまり、対(g,L)から対(g,K)へ群を変換する射があったとき、(ある条件を満たす)(g,L)加群Vに対してI(V)は作用が(g,K)加群に拡張するVの最大部分(g,L)加群になるとわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
いくらかのアイデアの導入によって可換環上の関手Iに関する抽象的な解析をいくつかの重要な場合に進めることができた。また、Iの導来関手の底変換定理を調べる途上で、導来代数幾何に関係があると期待できるある高次圏が現れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Iの導来関手によって得られるコホモロジーの解析、特に底変換定理の一般化を目指す。また、研究に現れた高次圏のより具体的な記述を見つける。
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