2015 Fiscal Year Annual Research Report
Non-coding RNAを介した妊娠出産期の皮膚基底細胞の増殖制御機構の解明
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15J06476
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福原 充子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | H19 / 長鎖非翻訳RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの周産期における腹部皮膚基底細胞の増殖変化に、long non-coding RNAであるH19遺伝子が関与している可能性について検討している。またH19のRNAからはmicroRNAが産生されることが報告されており、このmicroRNAの関与も合わせて調べている。これらのRNAの発現は周産期の母体皮膚において、変動がみられることをこれまでに確認した。また、H19ノックアウトマウスを入手し、皮膚増殖異常などの解析を進めている。 さらに、この発現量変化について実験を行っていく中で、H19の転写制御機構について注目した。H19はインプリンティング遺伝子であり、長期間にわたって発現が固定されているとみなされているが、これまでに一過的な発現変動が確認されている。このことからH19の発現制御にはインプリンティングによらない制御機構が存在することが示唆される。我々は、H19の転写開始点直後にグアニンに富んだ配列が存在し、その配列がグアニン四重鎖(G4)を形成することを見出した。グアニン四重鎖とは、4つのグアニンが四量体を作った面が複数面重なった、核酸による立体構造で、テロメアの安定性に関わるほか、遺伝子の転写や翻訳を制御することが報告されている。そこで、H19に見られたG4が転写制御に関わっているのかを調べたところ、複数のプロモーターからの転写を抑制する能力があることがわかった。現在、G4の高次構造に結合するタンパク質複合体の探索を行っており、G4による遺伝子発現制御がどのように行われているのか、さらなる解明を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった、マウスの周産期における腹部皮膚基底細胞の増殖変化についてはH19ノックアウトマウスを導入することができ、細胞染色などのデータを得つつある。またH19について、新たな発現制御メカニズムを発見した。H19の転写開始点がグアニンに富み、G4を形成すること、またその配列が転写を制御している可能性を示唆するデータが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
周産期において、H19ノックアウトマウスの皮膚基底細胞の増殖変化が野生型マウスと異なっている様子を増殖マーカーであるKi67で染色を行い、観察する。またH19RNAやそこから産生されるmicroRNAの発現している部位をin situ ハイブリダイゼーションにより決定する。さらにこれまでH19の発現制御メカニズムとして同定したG4に特異的に結合するたんぱく質や転写因子を同定し、これらの制御がマウスの体内においても同様に機能しているのかを解明する。
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Research Products
(2 results)