2015 Fiscal Year Annual Research Report
深海底におけるメタンハイドレート胚胎砂の力学特性に関する研究
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15J06540
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
梶山 慎太郎 山口大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | メタンハイドレート / 平面ひずみ / 細粒分 / 個別要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,メタンハイドレート(MH)が研究されている南海トラフのMH胚胎層は砂泥互層となっている.この様な地層から安全かつ長期的にMHを生産するにためには,地盤の力学特性の理解が不可欠である.本研究は種類の異なる砂を用いて実験および解析を行い,ミクロおよびマクロな視点から力学的挙動の評価することを目的とする.本研究では,細粒分含有率の異なる3種類の砂(以下,細粒分の少ない順にA,B,C)とガラスビーズ(GB)を用いて平面ひずみ条件でせん断試験,MH分解実験および解析を行う.GBは他の試料に比べて表面が滑らかで円形に近い形状である.これらの試料の間隙中にMHを生成させ,一連のせん断試験およびMH分解実験を行った.実験中に供試体を撮影し,実験後に画像解析を行い供試体の局所的変形を調べた.MH分解実験は試料A,B,Cに対してせん断応力を与えた後,応力を保持しつつ供試体上部側からのみ間隙水圧を減圧することで行った.MH分解後に間隙水圧を元の圧力まで回復させた. せん断試験の結果,細粒分含有率が高いほどMHの固結力による強度増加が大きくなる傾向が確認された.また,画像解析から,GBは他の試料よりも局所変形が生じやすいことが分かった. 分解実験の結果,試料B,Cでは上下端で圧力差が生じた.MH分解後,試料C以外は間隙水圧が元に戻るまで変形は認められず,元の大きさになった時点で破壊したが,試料Cは間隙水圧回復途中から変形し,元の大きさになったところで完全に破壊した. これらの実験を解析的に模擬するために,個別要素法によるせん断試験シミュレーションを行った.この結果,MHの有無によって残留強度に実験と同様に強度差が生じた.この時,供試体が破壊した後も幾分か固結力が残存していることが明らかとなった.これにより,各試料における残留強度の差は,残留した固結力の違いによるものと推察される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究においては,平面ひずみ試験機を用いて,細粒分含有率の異なる3種類の砂を母材としたMH胚胎砂のせん断試験およびMH分解実験を行った.このような実験は初めての例であり,これまで三軸試験では取得不可能であった実験中の供試体の局所変形を精度よく求めることができた.さらに,個別要素法を用いて平面ひずみ条件のMH胚胎砂のせん断試験のシミュレーションを行った.この結果から,MHの有無によるミクロな挙動と粒子間力の違いをより詳細に得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,すべての試料に対し拘束圧およびMH飽和率を変化させて平面ひずみ試験を行う.当研究機関の軸対称の三軸試験によると,MH飽和率が30%を超えると急激に強度が上昇する結果が得られている.平面ひずみ条件においても同様の結果が得られるものと推察される.同時に,その時の供試体の画像から,MH飽和率の変化と変形の関係を明らかにし,さらに細粒分含有率の違いについても評価する.また、個別要素法を用いて小さな粒子を用いて細粒分を表現し,細粒分含有率を変化させたシミュレーションを行う.さらにMH飽和率も変化させて実験のシミュレーションを行い,実験結果と比較する.これらの結果から,MH胚胎砂の強度増加と変形のメカニズムを明らかにする予定である.
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Research Products
(5 results)