2016 Fiscal Year Annual Research Report
ローレンツ・ミンコフスキー空間内の型変化する平均曲率零曲面の研究
Project/Area Number |
15J06677
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
赤嶺 新太郎 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 平均曲率零曲面 / 時間的極小曲面 / ミンコフスキー空間 / 平均曲率 / ガウス曲率 / ナル曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
ローレンツ・ミンコフスキー空間内の型変化する平均曲率零曲面の研究の一環として,本年度は主に時間的極小曲面について研究し,以下の研究成果を得た. 時間的極小曲面のガウス曲率の挙動について:時間的極小曲面は特にローレンツ多様体であることから,ユークリッド空間内の極小曲面やローレンツ・ミンコフスキー空間内の極大曲面の場合と異なり,ガウス曲率の符号に制約が存在せず,曲面の主曲率が常に実数の範囲内で取れるとは限らないという問題がある.報告者は時間的極小曲面のガウス曲率の符号および臍点,擬臍点と呼ばれる平坦点が,時間的極小曲面を生成する2本のナル曲線の向き,退化性と呼ばれる性質によってそれぞれ記述されることを証明した.そして,それらを応用することで,時間的極小曲面上に現れる任意の非退化特異点におけるガウス曲率の符号と特異点に近づく際の挙動を完全に分類した.具体的には,カスプ辺の近傍では臍点が存在せず,カスプ辺以外の特異点の近傍ではガウス曲率は零にはならず,ガウス曲率が負の値を持つか,正の値を持つかはそれぞれ特異点上で波面と呼ばれる特異点付き曲面の構造を有するか否かで決まることを証明した.これらの結果をまとめて論文「Behavior of the Gaussian curvature of timelike minimal surfaces with singularities」として学術雑誌に投稿した.また,前年度の研究成果である円の一径数族で構成されるリーマン型平均曲率零曲面に関する論文「Causal characters of zero mean curvature surfaces of Riemann type in Lorentz-Minkowski 3-space」が,2017年1月にKyushu Journal of Mathematicsに掲載受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極小面(minface)と呼ばれる特異点を持つ時間的極小曲面の正則点および特異点におけるガウス曲率の挙動を決定した.特に特異点の近傍におけるガウス曲率の符号は,時間的極小曲面の主曲率が実数値を取るか,複素数値を取るかということを決定しており,それが特異点における波面の構造の有無で決まることを明らかにしたことは,時間的極小曲面に関する基本的な性質を決定したものであるといえる.本研究結果は今後,型変化する平均曲率零曲面や一般の時間的曲面の研究に際して重要な役割を果すことが期待され,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の時間的極小曲面のガウス曲率に関する研究結果は,ローレンツ・ミンコフスキー空間内の型変化する平均曲率零曲面の研究の一環として,ナル曲線を考察することに示唆を得たことによって得られた研究成果である.今後は,本年度に得られた手法をより精密なものにした上で,型変化する平均曲率零曲面や極小面より広いクラスに属する時間的極小曲面の特異点の考察を行いたいと考えている.また,本年度の結果に加えて,極小面上のカスプ辺の近傍でのガウス曲率の挙動については,特異曲率と呼ばれる量を用いて記述できることもわかっているので,その結果についても取りまとめたいと考えている.
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Geometry of timelike minimal surfaces and null curves2016
Author(s)
赤嶺新太郎
Organizer
Asia Pacific Consortium of Mathematics for Industry Forum ``Math-for-Industry'' 2016 ``Agriculture as a metaphor for creativity in all human endeavors''
Place of Presentation
Queensland University of Technology, Australia
Year and Date
2016-11-21
Int'l Joint Research / Invited
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