2015 Fiscal Year Annual Research Report
脚車輪型移動ロボットの高機動化と衝突時の衝撃力緩和の同時実現に関する研究
Project/Area Number |
15J06727
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴村 章洋 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | N自由度制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は, 2つの研究目標 (1) N自由度制御/振動抑制制御/衝突の推定及び衝突緩和制御/コンプライアンス制御を検証する実験機の製作, (2) N自由度制御の理論検討, について取り組んだ. (1)に関しては, 位置・加速度・トルクを計測可能とする実験機を製作した. (2)に関しては, 以下の3項目について検討した. (2-i) N自由度制御器の一般表現の導出, (2-ii) N自由度制御の等価構造の導出, (2-iii)モーションコントロールへの応用と実験検証. (2-i):N自由度制御はSISO系をベースとして, センサを追加して性能改善を考える場合に自然に適用できる方法である. そこで, 複数のセンサを扱えるようにN自由度制御の表現を一般化した. (2-ii):N自由度制御の等価構造を解析すると, 外乱オブザーバを複数有することが明らかとなった. この等価構造は, 従来の外乱オブザーバを用いた研究例において見られない新しい構造であった. 特に位置と加速度のセンサを有するモータ駆動系を解析すると, それら2つのセンサを相補的に利用し広帯域に外乱を抑圧する構成を有することが明らかとなった. (2-iii): 今年度は, 特に位置センサ及び加速度センサを有する構成に対するN自由度制御の適用を検討した. 位置と加速度のセンサを用いた場合は, (2-ii)で明らかとなったように, 広帯域な外乱抑圧が可能である. また, 広帯域に外乱を抑圧しながらも, 制御入力・出力におけるノイズの影響を抑圧可能であることを実験的に検証した. また, 広帯域な外乱抑圧を外乱推定問題へと応用し, 広帯域な力覚の推定が可能であることを実験的に検証した. さらに, N自由度制御は多慣性系に対しても適用可能であり, 振動抑制においても効果があることを確認している. よって, モーションコントロール分野において更なる応用展開が可能である. 以上の成果に関して, IEEE IECON, IEEE AMC, 日本ロボット学会学術講演会において, 研究発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果では, N自由度制御は広帯域な外乱抑圧と広帯域な外乱推定を可能とする手法であることが明らかになった. これにより, 高精度な位置制御及び力の制御においてN自由度制御が有効であると言える. よって, ロボットの駆動制御性能を向上させる方法として, 広く一般的に用いることができる. 本研究の目的は, 移動ロボットの高機動化と衝突緩和の同時実現を達成するための制御設計法を見出すことである. その実現に際して, 広帯域に力を検出しロバストに位置を制御可能なN自由度制御は, 基盤となる技術となることが期待できる. このように, 基盤となる方法論を初年度で確立できたことから, おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の検討課題は, 以下の4つに大別される. (1)N自由度制御の枠組みにおけるモデル変動に対するロバスト制御設計法の検討, (2)力制御系に対するN自由度制御の適用, (3)多自由度マニピュレータに対するN自由度制御適用の検討, (4)移動ロボットにおける高機動化と衝突緩和動作を実現する運動生成手法の確立. (1)-(3)に関しては, 平成27年度の延長線上に位置するため, 現状の検討を引き続き継続し, 製作した実験機を用いて実験検証を進める. (4)に関しては, 本年度から検討を開始する. N自由度制御を駆動制御法の基盤としつつ, その上位制御系の実現を検討する. 上位制御系としては優先度を考慮したモデル予測制御の適用を検討する. 検討の際に問題となるのは, (1) 高機動化と衝突緩和の実現問題におけるモデル予測制御に必要な計算周期, (2) タスクを遂行する際に最適なインピーダンス特性をいかに決定するか, である. 以上の問題や本研究の目的を考えた上で, どのように制御系を設計すれば望ましい結果が得られるか, その制御設計指針を明らかにするため, 検討を進める.
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Research Products
(3 results)