2015 Fiscal Year Annual Research Report
恐竜型股関節とトカゲ型股関節の形態差を生ずる機構の解明
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15J06859
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江川 史朗 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 自律性 / 組織間相互作用 / 進化 / 発生生物学 / 恐竜 / evo-devo / 股関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)寛骨臼:ニワトリ(恐竜型)・カメ(トカゲ型)・ヤモリ(トカゲ型)・カエル(トカゲ型)において実験的に大腿骨を欠損させ、寛骨臼の形態形成における大腿骨の必要性を検証した。結果として、トカゲ型の寛骨臼を持つカメ・ヤモリ・カメでは大腿骨の非存在下でくぼみ型の寛骨臼が消失し平坦な構造を呈した。このことより、トカゲ型の寛骨臼の形態形成には大腿骨の存在が必要であることが示唆された。一方で、恐竜型の寛骨臼を持つニワトリでは大腿骨の非存在下でも孔のあいた寛骨臼が存在した。このことより、恐竜型の寛骨臼の形態形成には大腿骨の存在が不必要であることが示唆された。次に、ニワトリの予定寛骨細胞を体軸組織の非存在下で発生させた。結果として孔のあいた寛骨臼を持つ寛骨が発生した。このことより恐竜型の寛骨臼の形態形成には体軸組織の存在が不必要であることが示唆された。以上の結果より、恐竜型の寛骨臼の形態形成は自律的に起こるものであることが示唆された。続いて、大腿骨原基(など)と寛骨原基を接触させて共培養することにより、恐竜型の寛骨臼の形態形成における大腿骨の必要性を検証した。結果として、大腿骨原基の接触部位で、接触された側の寛骨の軟骨が消失した。このことより恐竜型の寛骨臼の形態形成には大腿骨の接触が十分であることが示唆された。 (2)大腿骨頭:ニワトリ(恐竜型)・ヤモリ(トカゲ型)の大腿骨原基を単離し、in vitro・in ovoで培養する系を確立した。結果として、培養系においても共に正常な形態を呈したので、両者は自律的に形態形成を行うことが示唆された。ニワトリにおいては大腿骨原基に蛍光標識を行い変形動態解析も行った。結果として、大腿骨頭の向きが変化する際にどの部分が相対的に拡大するのかを明らかにした。
両研究とも国内外の学会にて複数回発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
寛骨臼に関しては当初と予定を変更してより簡便な方法で解析を進めたため、1年目の計画に加え、2年目・3年目の計画も一部達成した。また、当初は予定していなかった大腿骨を接触させる実験を追加した。その一方で大腿骨頭に関しては、実験系の確立に時間がかかり1年目の計画の半分ほどしか達成していない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)寛骨臼 今までに得られている結果の再現性を示すために成功例を増やす。成功例が十分な数に達し次第査読付きの国際誌に投稿をする。
(2)大腿骨頭 複数の動物種で、培養系において自律的に形態形成をさせることに成功したので、さまざまな操作を加えることにより、その形態形成に必要な条件を探索する。
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Research Products
(4 results)