2016 Fiscal Year Annual Research Report
近代東アジア世界のなかの朝清関係:「宗属関係」の実質に着目して
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15J06921
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
森 万佑子 京都府立大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 大韓帝国 / 朴定陽 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用第二年度の研究内容は以下の通りである。 まず、研究計画に従い、近代朝鮮の「反清独立」・「反清ナショナリズム」について『駐韓日本公使館記録』『独立新聞』などの史料を中心に分析をおこなった。史料を読み込む過程で、朝鮮の「反清独立」を検討するにあたっては、先行研究が注目してきた清韓通商条約(1899年)以上に、大韓帝国の成立(1897年10月)の意味をその過程から丹念に解き起こす必要があると感じた。さらに、ロシアの外交文書を読み進めていくと、従来の研究で指摘されてきた大韓帝国成立時の朝露接近の構図も見直す必要があると感じた。そのような問題意識から、対清・対日関係に着目して大韓帝国の成立過程を改めて整理し、それが「開港」以後の朝鮮の歴史の中で有する意味を論じた。 次に、朝鮮の初代駐米全権大臣として先行研究が注目してきた朴定陽(1841~1905)についての研究を行った。朴定陽は、高宗在任中、甲午改革や露館播遷といった政権の性格が大きく変化していく中にあっても、一貫して政府の要職に就いていたため、彼の官職生活を通して、高宗の考えや朝鮮政府の対外制度の変容について一定の知見を得ることができるのではないかと着想した。そうした着想から、「朴定陽を通してみる対外制度の変容」として研究をまとめた。 最後に、前年度に東京大学に提出した博士論文が松下幸之助記念財団より「松下正治記念学術賞」を受賞した。この受賞により出版助成を頂けることになったので、博士論文の書籍化の作業に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、史料の収集・分析を行った。そして、それらの成果をまとめて学会で発表し、論文を執筆して投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、本年度の研究成果を論文として完成させる。次に、宗属関係が実質的に機能しなくなる1894年以降1897年までに、朝鮮政府の外政機構であった外務衙門と外部の組織変遷、機能、実務にあたった者たちの経歴の整理などを行う。その成果を、既に発表している統理交渉通商事務衙門(1882~1894)の研究成果と併せて分析し、論文にまとめる。最後に、博士論文を加筆・修正し、その成果を出版する。
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Research Products
(3 results)