2016 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンループによる形態形成遺伝子の発現制御メカニズム
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15J06985
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
毛利 亘輔 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | クロマチンループ / ESCO2 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロマチンはループ構造をとることで、プロモーターとエンハンサーを物理的に近づけ、相互作用を可能にし、遺伝子発現制御を行う。このようなループ構造を制御する因子として、DNA結合タンパク質であるCTCFと、リング状の構造タンパク質複合体であるコヒーシンが知られている。しかし、これらの因子の欠失は一様に遺伝子発現異常を引き起こすわけではなく、遺伝子ごとに影響が異なる。すなわち、それぞれの遺伝子領域のクロマチンループは制御のされ方に多様性があると考えられる。本研究ではこのような多様性を生むメカニズムとして、コヒーシン制御因子ESCO2に着目して解析を行った。 初年度の業績により、発生初期にESCO2を欠失させると四肢の欠失が起こることを明らかにした。ESCO2により発現が変動する遺伝子群を探索するために、時期特異的にESCO2を欠失させるためのマウスを用意した。CAG-CreERT2はタモキシフェンを用いた薬剤誘導により任意の時期にCre酵素活性を誘導することができる。これにより、任意の発生ステージにおいてESCO2の欠失を誘導することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究実績を踏襲し、CAG-CreERT2トランスジェニック系統とESCO2 cKO系統の交配を開始した。CAG-CreERT2は全身でCreを発現する系統であるが、モキシフェンによって誘導されるまでCre酵素の活性が抑制されている。すなわち任意の発生期においてESCO2のcKOを誘導し、その表現型を確認できる。これによって、より発生が進んだ肢芽においてESCO2タンパク質を欠失させ、肢芽の欠損を回避しつつ発生関連遺伝子の発現プロファイルを調べることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
CAG-CreERT2によるESCO2 cKO個体から四肢を取得し、ESCO2タンパク質量を調べる。十分なタンパク質の低下が確認でき次第、その四肢における遺伝子発現をqPCRにより調べる。E10.5およびE13.5の2つのステージでサンプルを取得し、それぞれで発現変動する遺伝子を探索する。具体的には初期ではShhおよびその下流遺伝子群、後期ではHox遺伝子群を中心に調べる。 また、これまでの解析結果をまとめ、査読付き論文として投稿し成果発表を行う。
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Research Products
(1 results)