2016 Fiscal Year Annual Research Report
運動とカロリー制限による骨格筋ミトコンドリアの品質管理
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15J07033
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
服部 聡士 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | マイトファジー / ミトコンドリア新生 / カロリー制限 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はカロリー制限下での自発性走運動が、骨格筋ミトコンドリアの品質管理に及ぼす影響について検証する。 マイトファジーを形態的、生化学的に検出するために栄光プローブを付加したマイトファジー関連タンパクをコードする発現ベクターをマウス骨格筋に遺伝子導入し、蛍光の共局在を蛍光顕微鏡で観察することでマイトファジーの形態的観察を行う。また、生化学的な定量は、等密度勾配遠心法でマウス骨格筋のミトコンドリアを抽出し、膜外タンパクをプロテイナーゼKで処理後、ミトコンドリアに局在するマイトファジー関連タンパクをWestern blot方で検出する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年度においては、まず骨格筋における選択的ミトコンドリア分解(マイトファジー)のイメージング法を確立することを目的に遺伝子導入実験を行い、並行してマイトファジーの定量評価の条件検討を行った。 申請者は、蛍光タンパクをタグ付けしたマイトファジー関連タンパクを指令する発現ベクターをマウス骨格筋に導入することで形態的な観察を試みた。しかし、当初想定していたよりも骨格筋中で蛍光プローブの発現が認められず、2年度前半に条件を設定することができなかった。そこで、蛍光プローブの種類やターゲットとするマイトファジー関連タンパクを変更するなど、異なる発現ベクターでの実験を行った。その結果、観察された蛍光が定量に必要とされる遺伝子導入効率に達したことから、方法の確立に至った。 また、並行してマイトファジーの定量評価を試みた。まず、ミトコンドリアをマウス骨格筋から抽出することを目的に等密度勾配遠心法を行った。この方法ではサイトゾル分画とミトコンドリア分画に分けるが、抽出した精製物中のミトコンドリアタンパクをWesternblot法で検出したところ、サイトゾル分画にミトコンドリアが残存してしまい、筋組織から全てのミトコンドリアを抽出することができなかった。そこで、27Gシリンジで細胞懸濁液の吸引と吐出を行い、筋細胞膜を破砕してミトコンドリアを回収する方法を試みた。これらの処理を行い、再度Westernblot法で各分画中のミトコンドリアタンパクを検出したところ、前者の方法ではヒアルロニダーゼ処理を行ってもサイトゾル分画にミトコンドリアタンパクが検出されたのに対し、後者の方法ではサイトゾル分画にミトコンドリアタンパクは検出されなかった。このことから、申請者は27Gシリンジで細胞懸濁液を処理する方法を採用し、骨格筋ミトコンドリアの抽出を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、マイトファゴソームの隔離膜外に存在するマイトファジー関連タンパクを分解するためにProteinase K protection assayの条件検討を行っている。Proteinase Kでミトコンドリア分画を処理することで、ミトコンドリア分画に少量残存していると考えられる隔離膜外のマイトファジー関連タンパクを分解し、ミトコンドリアに局在しているマイトファジー関連タンパクのみを残すことができると思われる。Proteinase K protection assayの検討の終了後、直ちにこれらの方法で食餌制限によるマイトファジーの亢進を観察できるかを検証する。マイトファジーに対する食餌制限の影響が観察され次第、速やかに運動トレーニングとの相乗効果について検討する。
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