2015 Fiscal Year Annual Research Report
補助人工心臓脱血管の評価方法開発,及び,開発指標の構築と最適設計に関する工学研究
Project/Area Number |
15J07145
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 東 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ひずみ分布計測法 / 径カテーテル大動脈弁置換術 |
Outline of Annual Research Achievements |
径カテーテル大動脈弁置換術は低侵襲であり近年手術数が増加してきたが,手術に伴い血管に加わるひずみが血管の破裂・障害を引き起こすことが知られている.しかし,ひずみ分布を定量評価し理解する方法がないことが課題である.本研究では,トレーサ粒子を内部に分布させた透明血管モデルに対して,高速度カメラを用いて得られる粒子画像に対して断層粒子画像速度測定法を応用することで,血管モデルの三次元的なひずみ分布を計測する手法を開発することを目的とした. 平成27年度は,まず,新規ひずみ計測法の開発および妥当性の検証を行った.まず,トレーサ粒子と透明シリコーンの攪拌時間の検討を行い,透明シリコーン内の分布が均一となる製作法を開発した.作成したトレーサ粒子入り透明シリコーン製試験片を用いた引張試験において標線間距離と三次元画像相関法により計測されるひずみを比較することで,開発した新規ひずみ計測手法の最適な計測手法の検討を行い,妥当性を検証した.実験系は,レーザおよび2台のカメラ,引張試験機,アクリル製水槽で構成した.試験片壁面での屈折の影響を排除するため試験片の屈折率に合わせたグリセリン水溶液で満たしたアクリル製水槽内に試験片を設置した.引張試験結果から,透明シリコーン内の最適な粒子濃度,および,相互相関法による最適な解析手法を決定した.さらに,垂直ひずみがεyy=0.6% – 40%における標線間距離および三次元画像相関法から算出した垂直ひずみの比較により,二つのひずみ計測法は強い相関性を示し.高い相関性を持つことがわかり,本研究で開発した新規ひずみ計測法の妥当性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,補助人工心臓における脱血管近傍の流れ場を可視化する試験法の開発に取り組んだ.一方,開発を通して可視化試験法の開発,および,本研究内容の実施が困難であることが明らかになった.そこで,同一の循環器領域において,大動脈弁狭窄症の新たな低侵襲な治療法として期待されている経カテーテル大動脈弁留置術に注目した研究を行った.経カテーテル大動脈弁留置術は,一部の症例で術中に大量出血につながる血管破裂が課題となる.本研究では,経カテーテル大動脈弁留置術において血管に加わるひずみを計測する技術を開発し,経カテーテル大動脈弁留置術における血管破裂のリスクを定量的に解明することを目的とした.本年度は,①粒子を混合した血管モデルの開発,②血管モデル内の粒子の移動分布計測手法の開発,③血管モデルに加わるひずみの計測手法の開発に取り組んだ.本年度の研究によって,これまで困難であった血管のひずみ計測手法の基盤技術開発に貢献した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,新規ひずみ計測法を用いて圧力付加時のトレーサ粒子入り透明シリコーン製大動脈モデルに生じる相当ひずみを計測することで,三次元的かつ不均一なひずみ分布を対象とした試験を行う.新規ひずみ計測法の不均一なひずみ分布計測は,有限要素法と比較することで妥当性を検証する.さらに,径カテーテル大動脈弁置換術における大動脈弁近傍に加わるひずみ計測を可能とする実験系を構築する.
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Research Products
(2 results)