2015 Fiscal Year Annual Research Report
スピン電荷結合系における非共面磁性相に起因した特異な物性の実空間および実時間解析
Project/Area Number |
15J07157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 遼 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 近藤格子模型 / 遍歴磁性体 / 非共面スピン配置 / 磁気渦 / RKKY相互作用 / GPU計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
遍歴磁性体における非共面的な磁気パターンの発現の可能性について調べた。大規模な数値計算を用いて磁気モーメントの最適化シミュレーションを行った結果、従来の予想よりずっと広いパラメタ領域において、非共面的な磁気パターンが発現することを発見した。また他の数値計算や摂動論による解析計算により数値シミュレーションと相補的に磁気パターンの安定性を示し、また安定化機構を明らかにした。この研究成果は、従来の遍歴磁性体で有効的に働くと考えられていた、いわゆるRKKY相互作用が誘起する磁気秩序ではなく、より高次の摂動の寄与が効くことで非共面的な磁気秩序が発現することを示した。 さらに、大規模な数理計算方法を実時間発展をシミュレーションするための手法に拡張した。また simulated floating zone法なる時間発展法を編み出し、より高効率な最適化法を開発した。現在は、非共面的な磁気パターンの磁気異方性や磁場に対する安定性を数値的に調べている。その結果、さらに多彩な磁気パターンの可能性が遍歴磁性体にあることを明らかにしている。 これらの研究は、非共面的な磁気パターンなどが誘起する非従来型の磁気伝導現象の可能性を広げたという意義をもち、スピントロニクスなどの発展にミクロな立場から寄与するものである。そのため、今後の展望としては、スピントロニクスでホットな話題となっている磁壁や磁気渦などの欠陥と伝導性の関係といった非一様性に関する問題や、非平衡・ダイナミクスといった実時間発展の問題の解明を見据えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値シミュレーションのコードを整備し、実時間発展の計算まで行えるようになり、また大規模なGPU計算の環境を整備するといった、今後の研究を進展させる上での基礎固めを十分に行えることができた。また、実際に数値シミュレーションにより新奇な非共面的な磁気パターンを発見し、解析計算なども交えた相補的な手法を用いることで、その安定性を綿密に議論し、非従来型の磁気伝導現象まで発見することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、磁壁や磁気渦などの欠陥と伝導性の関係とっいた非一様性に関する問題や、非平衡・ダイナミクスといった実時間発展の問題の解明を見据えている。外部電流や熱勾配といった応用上興味深い非平衡現象が誘起される状況をシミュレーションにより解析することで、磁性や電荷の輸送現象を明らかにする。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Vortex Crystals with Chiral Stripes in Itinerant Magnets2016
Author(s)
R. Ozawa, S. Hayami, K. Barros, G. W. Chern, Y. Motome, C. D. Batista
Organizer
International USMM & CMSI Workshop: Frontiers of Materials and Correlated Electron Science -from Bulk to Thin Films and Interfaces
Place of Presentation
東京大学(東京文京区)
Year and Date
2016-01-05 – 2016-01-09
Int'l Joint Research
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