2015 Fiscal Year Annual Research Report
心室組織ECM足場と動的応力を用いたヒトiPS細胞の心室筋細胞の分化促進と選択
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15J07298
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
藤田 恭平 山形大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 心室細胞外マトリクスハイドロゲル / 足場素材の力学特性 / 非線形粘弾特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞の分化に対して足場素材の影響が重要視されつつある。これは足場に存在する接着性因子と足場素材の力学特性が分化のトリガーとなる新発見に端を発する。足場の力学特性が幹細胞の分化に重要な影響を及ぼすことを鑑み、ヒトiPS細胞の分化培養を行う際に重要な基礎データとなる心室ECMゲル(vECMゲル)の詳細な力学特性や細胞適合性の評価に焦点を絞り平成27年度は以下の2点の課題について研究を行った。 1. カルボジイミド系架橋剤を用いたvECMゲルの力学特性の調整 vECMゲルをカルボジイミド系架橋剤EDACにより室温で24時間処理した。本研究室で開発した圧縮試験装置でゲルの粘弾性特性を測定し、ECMゲルの力学特性の解析は非線形Kelvinモデルを適用した。12.5 mg/mlおよび17.5 mg/ml vECMゲルのYoung率はEDAC処理により無処理のものと比べ約3-5倍まで増加した。またEDAC濃度の増加に伴って弾性係数K1、K2は増加する傾向が確認できた。EDAC処理により脱細胞心室組織と同程度の力学特性を有するvECMゲルを作製することに成功した。 2. 架橋剤により力学特性を調整したvECMゲルの細胞適合性の評価 脱細胞心室組織と同程度のYoung率を有するvECMゲル、脱細胞組織と比べ低いYoung率を有するvECMゲル、脱細胞組織と比べ高いYoung率を有するvECMゲルの3種類の異なるYoung率を有するvECMゲル上にラット胎児線維芽細胞を5000cellsずつ播種・培養を行った。EDAC処理を施したvECMゲル上の細胞をCelcein-AMにより蛍光観察を行ったところ、仮足を突出し良好にゲル表面に接着していることを確認した。培養4日間の単位面積あたりの細胞数の変化を評価したところ、脱細胞心室組織と同程度のYoung率および脱細胞組織と比べ低いYoung率を有するvECMゲル上の細胞が最も増殖した。これらの結果からvECMゲルの力学特性を調整することで線維芽細胞の増殖を制御できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は非線形粘弾性モデルによるvECMゲルの力学特性の詳細な評価、架橋剤を用いた脱細胞心室組織と同程度の力学特性を有するECMゲルの作製、そして力学特性を調整したECMゲル上での細胞適合性を評価した。これらの研究は当初計画した通り、またはそれ以上に順調に進められた。しかしながら一方でiPS細胞胚様体の形成率が約25%と低く、vECMゲル上に播種するために十分な胚様体数を確保できない問題が生じたため、当該年度に当初予定していたvECMゲル上でのヒトiPS細胞の分化培養は予定よりやや遅れていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に浮上した問題点であるヒトiPS細胞の胚様体の形成率の低さに関しては、胚様体形成時に用いる培養液をStemPro34など胚様体が安定的に形成できるとされるものに変更するなど胚様体形成時のプロトコルを刷新することで形成率を向上させる。この問題を克服したのちに力学特性を調整したvECMゲル上にヒトiPS細胞胚様体を播種し遺伝子解析および免疫染色により心室筋細胞への分化能を評価し、平成28年度の計画は予定通りに進行・完成できることを確保する。
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Research Products
(5 results)