2015 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の音声に対する聴性脳幹反応による新たな聴覚補償に関する研究
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15J07390
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤平 晴奈 九州大学, 芸術工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 聴性脳幹反応 / 音声 / 高齢者 / 残響 / ノイズ / 加齢 / 補聴器 |
Outline of Annual Research Achievements |
<目的> 補聴器は、聴力が低下した人の音声の聴き取りを助ける装置であり、装用する人の脳内において音声がどのように処理されているかについて明らかにすることは、新しい補聴技術の開発へとつながる点で非常に重要である。本研究では、補聴器を装用する機会の多い高齢者を対象として音声に対する聴性脳幹反応を測定し、音声の聴き取りにくさに関わる脳内での音声情報処理の様相を明らかにする。 <本年度の研究成果> 本年度は2つの実験を行った。1つ目の実験は、27名の聴力正常な高齢者から残響を付加した2音節の音声刺激に対する聴取成績と聴性脳幹反応の測定を行った。この実験から、残響下における2音節目の正答数が高い高齢者ほど、残響下における2音節目の子音にかかわる周波数である700 Hzに対する聴性脳幹反応の振幅が大きいことが示された。このことから高齢者の残響下における子音の聴き取りにくさには、脳幹における子音に関わる周波数の処理が関連している可能性が明らかになった。 1つ目の実験では聴力正常な高齢者を対象として実験を行ったが、聴覚補償を必要とするのは聴覚機能が低下した人々であるため、聴力が低下した高齢者における脳内での音声処理の様相について検討することは、聴覚補償の技術を考案する際に必要不可欠であると考える。そこで2つ目の実験として、聴力の低下した高齢者18名を対象にノイズ下での音声に対する聴取成績と聴性脳幹反応の測定を行った。今後、測定結果に対して解析を進めて、聴取成績と聴性脳幹反応(神経発火の同期性)との間に関連性が認められるかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた聴力が低下した高齢者における音声聴取実験と音声に対する聴性脳幹反応が実施され、さらに補聴器を使用する環境に近い条件における成果も得ることができた。本課題に関する成果発表は、国際学会で1件、国内学会で3件行っている。また、一連の研究成果に対して(社)日本音響学会より粟屋潔学術奨励賞が授与された。
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Strategy for Future Research Activity |
聴力が低下した高齢者の測定結果の解析を進め、音声の聴き取りにくさに関連する新たな知見を獲得する。当初の研究計画にあった実際の補聴器装用に関しては、聴力が低下した高齢者に対して音を増幅させた条件と増幅させない条件で比較することで対応する。また、今年度の成果から明らかになった音声の聴き取りにくさに関わる脳内における音声処理をふまえ、その要因と考えられる神経伝達物質が引き起こす現象を聴性脳幹反応から捉え、若年者と高齢者を比較することにより要因を追究する。
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Research Products
(4 results)