2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ加工表面に構築した細胞神経回路の活動計測と数値計算を組合せた機能解析法の確立
Project/Area Number |
15J07429
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河野 翔 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ナノバイオテクノロジー / 神経回路 / 自己組織化有機単分子膜 / 細胞パターニング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳は約1000億個の神経細胞が複雑なネットワークを構築し、互いに電気的なやりとりをする情報処理システムである。 本研究では、ナノ/マイクロ加工技術を活用することで、ガラス基板表面の任意の位置に神経細胞を配置・接続してボトムアップ的に神経細胞回路を構築し、その活動計測を通して神経回路の構造と活動の関係を明らかにすることを目的としている。神経回路は、電気的特性の異なる2種類の神経細胞-興奮性神経細胞と抑制性神経細胞-を主として構成される。この2種類の神経細胞の存在は神経回路の活動に大きく関係する。意図した構造の神経回路を構築するためには、これらの細胞種を判別することが必要不可欠である。これまでに、神経細胞を化学固定して評価する方法や、特定の神経細胞に蛍光色素を導入する方法が知られている。細胞が生きた状態で蛍光標識せずに細胞種を判別することが出来れば、神経細胞の細胞種を判別した後に細胞間を接続することができ、任意の神経回路をガラス基板表面に構築することが可能になる。 そこで、本年度は以上の課題を達成するために、マイクロパターン基板を用いることにより、興奮性神経細胞と抑制性神経細胞を生きた状態で蛍光標識を施さずに判別できる方法を考案した。神経細胞の出力端子である軸索と入力端子である樹状突起を制御可能なパターン上で、軸索伸長過程を計測したところ、抑制性神経細胞の軸索伸長が興奮性神経細胞のそれに比べて有意に遅いことが分かった。培養6日目において、軸索長の閾値を120umに設定することにより、閾値以下の細胞が抑制性細胞・閾値以上の細胞が興奮性細胞として判別することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造を制御した神経回路を構築するための技術がほぼ揃った。これらの成果は、雑誌論文2本、学会発表6本として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、構造を制御した培養神経回路の活動計測を通じて、回路構造と活動の関係を調べる。また、神経回路の自発的神経活動に加えて外部からの入力に対する回路応答も調べる。
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Research Products
(8 results)