2015 Fiscal Year Annual Research Report
離散最大正則性とその有限要素法・有限体積法への応用
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15J07471
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
剱持 智哉 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 最大正則性 / 差分法 / 有限要素法 / 有限体積法 / 放物型方程式 / Stokes方程式 / Navier-Stokes方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,偏微分方程式に対する最大正則性という概念の(時間および空間に関する)離散化について考察し,偏微分方程式の数値解析,特に有限要素法や有限体積法へ応用することである.本年度の目標は大きく分けて次の2点であった:(1)可変な時間刻み幅による差分法,および非自例的な問題に対する(時間方向の)離散最大正則性の考察,(2)Stokes方程式に対する(空間方向の)離散最大正則性の考察およびその応用.残念ながら,どちらも完全に達成することはできなかったが,以下に記すように研究全体としては発展があった. まず,一定の時間の刻み幅よる差分法に関して,その応用を研究した.具体的には,Laplace作用に対して,全離散的な(空間・時間の両方の離散化に対する)最大正則性が成り立つことを証明し,線形および半線形の熱方程式の有限要素法の誤差評価へ応用した.この成果は論文にまとめ,投稿したところである.この論文において,作用素の分数ベキによる手法を用いて解析をした.この手法は最大正則性との親和性が非常に高いが,数値解析の誤差評価の文脈では用いられたことのない手法であり,今後,Navier-Stokes方程式など,様々な方程式へ応用できると期待される.時間刻み幅が一定でない場合と非自励的な問題に関しては,難しさに共通点があることを見出すことができた.引き続き,時間連続問題に対する非自励的な問題への手法を参考にしながら研究を進めていく. 次に,Stokes方程式に関しては,前述の熱方程式の空間離散化に対して用いたアプローチがそのままでは適用できないことが明らかになった(分数ベキによる手法が適用できないということではない).そのため,別のアプローチが必要である.Navier-Stokes方程式の解析手法の一つである,実解析的な手法が応用できるのではないかと考えており,考察しているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度のはじめに掲げた目標はあまり達成できていないが,今年度は基礎研究のはじめの一歩に当たる部分や,簡単な応用例に関する結果を得ることができた.そもそもこの分野は,基礎研究や簡単な応用すらほとんど研究されていないような分野であるから,簡単なことでも重要な結果である.また,熱方程式の誤差評価において用いた手法は,他の方程式へ適用できることが期待されるため,今後の研究においても有効に活用できると考えられる.以上の理由により,おおむね順調に進展していると自己点検できる.
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Strategy for Future Research Activity |
時間の離散化に関しては,今年度に引き続き,時間刻み幅が一定でない場合の差分法を考察してゆく.また,差分法だけでなく,不連続Galerkin法など,他の時間離散化手法に対する離散最大正則性に関しても考察する. 空間の離散化に関しては,Stokes作用素だけでなく,高階の楕円型作用素や,非発散型の楕円型作用素なども対象にし,通常の有限要素法だけでなく,近年数値解析の分野において広く用いられているB-splineやNURBSによる有限要素法に関しても考察する.
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Research Products
(8 results)