2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J07507
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 誉士 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | カツオドリ / データロガー / 採餌行動 / 非繁殖期 / 繁殖投資量 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年4~9月にかけて東海大学沖縄地域研究センター(沖縄県八重山郡竹富町上原870-277)に滞在し、海況の良い日に西表島の南西15 kmに位置する無人島・仲ノ神島に渡島して野外調査を実施した。4月30日と7月2日に育雛中の親鳥をそれぞれ7羽と6羽捕獲し、GPSデータロガー(EcoTone URIA-420, URIA-300, or TechnoSmArt GiPSy4)およびジオロケータ(Biotrack)を装着した。GPSは10分毎の位置を記録するように設定し、合計12個体から2~30日の採餌行動データを得ることに成功した。これらのデータを解析することにより、カツオドリの基礎的な採餌生態および餌環境の季節変化に関する情報を得ることができると期待される。また、島内を踏査し、前年度およびそれ以前に装着したジオロケータの回収を試みた。昨年度はカツオドリの繁殖成績が悪かったが、そのような年の繁殖期に続く非繁殖期の行動を通常の年の行動と比較することにより、繁殖投資量が非繁殖期および翌年の繁殖期の行動に及ぼす影響について明らかにすることができると考えられる。 今年度は野外調査による成鳥の行動データ取得に加え、過去にカツオドリ幼鳥にビデオカメラデータロガーを装着して取得した行動データを解析し、幼鳥の飛翔能力に関する論文を国際英文誌に発表した(査読付き論文3)。本論文では、環境の季節変化(風速)が本島で繁殖するカツオドリの繁殖期を制限する要因となっていることを示した。さらに、繁殖投資量と翌年の繁殖開始タイミングに関しては、日本鳥学会でポスター発表をした(学会発表2)。天候の影響や繁殖成績の悪化により、本来予定していた研究プロセスとは多少異なるが、様々な視点からカツオドリ成鳥および幼鳥の採餌行動・繁殖生態が明らかになりつつあり、今後データ解析を進め、結果を統一的に解釈することで、本研究課題を達成できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は雛の操作実験を実施しなかったが、GPSデータロガーを用いて繁殖期前半と後半の親鳥の採餌行動を記録することに成功した。このデータを解析することにより、本繁殖地で繁殖するカツオドリの採餌生態および餌環境の季節変化を明らかにすることができると期待される。また、これまでに取得していたカツオドリ成鳥の非繁殖期の行動データ(ジオロケータにより記録)に加え、繁殖成績の悪かった昨年度に続く非繁殖期の行動データを取得できたことにより、本研究課題の達成目標の一つである繁殖期の投資量と非繁殖期の行動および翌年の繁殖開始タイミングの関係を明らかにすることができると考えられる。様々な側面からカツオドリの繁殖・採餌生態が明らかになりつつあり、今後データ解析が進むことにより、課題が達成できることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は野外調査の規模を縮小し、これまでに取得したデータの解析および結果のまとめに重点を置く予定である。
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Research Products
(19 results)