2015 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスによる情動変容における神経ミクログリア相互作用の役割とその分子機序の解析
Project/Area Number |
15J07561
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
聶 翔 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 精神疾患 / ストレス / うつ病 / ミクログリア / 自然免疫分子 / 前頭前皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病や統合失調症などの精神疾患の発症や病態には、環境や社会から受ける心身のストレスなど環境要因が深く関わるが、その機序には不明な点が多い。当研究室では、マウスうつ病モデルとされる反復社会挫折ストレスを用いて、ストレスによるうつ様行動や不安亢進に自然免疫分子が必須であることを見出してきた。本研究では、自然免疫分子の作用を端緒に、反復社会挫折ストレスによる情動変化のメカニズムを解明する。 今年度は、当該自然免疫分子の遺伝子欠損マウスを用い、反復社会挫折ストレスによる前頭前皮質での神経細胞の機能・形態変化やミクログリア活性化に自然免疫分子が必須であることを示した。さらに自然免疫分子を脳領域かつミクログリアで選択的に制御することで、反復社会挫折ストレスによる情動変化にミクログリアにおける自然免疫分子が必須であること、また自然免疫分子が作用する脳領域を特定した。並行して、反復社会挫折ストレスによる情動変化に寄与する神経回路を同定するため、神経細胞活動操作のための化学遺伝学的手法、蛍光蛋白による神経細胞形態の可視化法を確立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では野生型及び自然免疫分子欠損マウスの神経細胞やミクログリアの活性化を既存のマーカー分子を用いて組織学的に解析することを計画していた。また神経細胞の形態解析を詳細に解析するとともに、各種脳細胞の活動の操作技術を用いて反復ストレスによる情動変化への影響を調べることを計画していた。「研究実施の概要」に示した通り、反復ストレスによる情動変容に伴う神経細胞とミクログリアの活性化を可視化し、その活性化に対する自然免疫分子の重要性を示した。さらにミクログリアや神経細胞の活動の操作法を確立し、その一部を用いて、反復社会挫折ストレスによる情動変容のメカニズムの一端を明らかにした。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に立ち上げた手法を用い、自然免疫分子が情動変化を誘導する神経回路を同定し、その神経回路の機能形態変化に迫る。さらに自然免疫分子欠損マウスを用いて、その神経回路の機能形態変化への自然免疫分子によるミクログリア活性化の関与を明らかにする。さらに、反復ストレスによる遺伝子発現変化を手掛かりに、反復ストレスにより活性化されたミクログリアが神経細胞の機能形態変化を促すメカニズムやミクログリア活性化を担う分子機序にも迫りたいと考えている。
|
Research Products
(1 results)