2017 Fiscal Year Annual Research Report
高分散・高時間分解能X線観測を用いたブラックホール近傍での降着・放出現象の理解
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15J07567
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水本 岬希 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | X線天文学 / 活動銀河核 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、活動銀河核中心の超巨大ブラックホール近傍での質量放出現象に関する研究を行なった。中心ブラックホール近傍からは、円盤風とよばれる質量放出現象が観測されている。この円盤風は、X線エネルギースペクトル内において、青方偏移した鉄イオンの吸収線からその存在が確認され、これまでに柱密度、電離度、視線速度などの物理パラメータが求められている。一方で、吸収線からでは、視線上に存在する円盤風の情報しか原理的に求めることができなかったため、視線外の円盤風から得られる情報、特に円盤風の立体角に関しては制限をつけることができていなかった。 そこで私は、X線反響ラグ(reverberation lag)に着目した。ブラックホール中心付近の放射領域から出てきたX線光子は、直接観測されるものもあれば、周囲の物質に跳ね返って観測されるものもある。周囲の物質に跳ね返ったX線のエネルギースペクトルには、6.4keVの蛍光鉄輝線や、6.7keVや7.0keVの鉄イオンの共鳴散乱による輝線が見られる。また、跳ね返ったX線は、直接観測されるX線より長い光路を辿って観測されるため、時間遅れが生じる。この時間遅れの情報を使うことで、ブラックホール近傍にどのような物質が存在しているのか、そのジオメトリを調べることができる。 これまで、観測されているX線反響ラグは、降着円盤での反射によって起こっているとするモデルが多く提唱されてきた。しかし私は、このモデルに立つと他の観測事実との間に矛盾が生じることを明らかにした。一方で、X線反響ラグが円盤風での反射によって起こるとするならば、全ての観測事実を矛盾なく自然に説明できることを、初めて明らかにした。このことから、X線反響ラグを使うことで、円盤風の構造、とくに立体角に制限をつけることができることを示した。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)