2015 Fiscal Year Annual Research Report
膝関節力学モデルを用いた膝疾患悪化メカニズムの解明
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15J07655
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 雄己 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 平面法則 / 歩行解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の今年度は,主に膝OA患者の実計測を行い,その解析を行った.実計測はボランティアを募集し,歩容を計測した.結果をElevation angleを用いて解析し,歩容の特徴抽出を行った.以下に研究成果の詳細を示す.Elevation Angleを用いて近似平面を導いた.その過程で主成分分析を利用した.近似平面でどの程度説明できるか確認するため,健常者(若年・高齢)と患者の累積寄与率を算出した.近似平面の法線ベクトル角度差を利用して,健常者との違いを抽出できるか検討した.手法の正確さを検討するために交差検定を行った.正答率,適合率,再現率とF値の平均と標準偏差を算出した.さらにROC曲線とAUCを用いて,手法の判別精度を確認した.実計測は光学式モーションキャプチャカメラを用いて計測した.累積寄与率の結果から,平面法則が患者でも成り立つことが分かった.高齢健常者と比較して,患者のほうの法線ベクトルが若年健常者代表平面から外れていることが分かった.平面法則を利用して疾患の判別を行えることが分かった.従来手法と比較して判別の正答率,適合率,再現率が上がった.平面法則が成り立つ理由は,歩行動作を生成すること自体はできていたからと考えられる.機構学的に拘束条件が成り立つ場合には,法則が成り立つ可能性が高い.平面法則のほうが従来手法よりも正答率があがった理由は,変形性膝関節症患者の代償動作を含めた指標を作れたからと考えられる.提案手法において,AUCが0.7を超えていることから,ある程度妥当な指標を探せたことを示している.歩容が健常者と異なっているにも関わらず,平面法則が変形性膝関節症患者においても成り立つことが分かった.さらに,近似平面の法線ベクトルを用いて,疾患の判別を行える可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変形性膝関節症の悪化メカニズムを解明するために,膝関節力学モデルの作成と実際の患者の動作計測を行えた.特に今年度は実際の患者の動作計測を行い,解析を行った点が成果として大きい点である.Elevation Angleを用いた手法はチャレンジングな手法であり,特徴抽出に関して今後の様々な展開が可能であると予想している.従来手法との比較も行えており,本手法の長所と短所を詳細に分析できた.これらの研究成果に関して論文投稿も行えた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度末に購入したジャイロセンサを用いて,簡易にElevation Angleをどの程度の精度で計測できるかを調べる.その後,交差検定などの手法を用いて,臨床現場でも利用できるためにはどのような情報を組み合わせることが必要かどうかを検討する.
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Research Products
(4 results)