2016 Fiscal Year Annual Research Report
ゴルジ体によるER exit site捕捉の分子機構
Project/Area Number |
15J07657
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 純平 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 小胞輸送 / 小胞体 / ゴルジ体 / COPII小胞 / ER exit site / SEC16 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,植物細胞中を素早く動き回っているオルガネラへの物質輸送の仕組みを明らかにすることを目的とし,小胞体からゴルジ体への物質輸送を担うCOPII小胞の形成部位であるER exit site (ERES)とゴルジ体に着目して研究を進めている.これまでに行ったERESとゴルジ体の動態についての詳細な解析から,新しい輸送モデルを構築した.今年度は,細胞骨格がERESとゴルジ体の関係に影響を与えているのかについて検討を行った.阻害剤を用いた実験の結果,細胞骨格,および,ゴルジ体の動きは,ERESとゴルジ体の接触に必須ではないことが明らかになった. また,ゲノム編集技術を用いて作出したmag5mag5l二重変異体についても解析を進めた.まず,オフターゲット切断の可能性について検討したが,得られたmag5mag5l二重変異体では,7つのオフターゲット候補配列にすべてにおいて変異はまったく見られなかった.表現型について解析を行ったところ,興味深いことに,mag5mag5l二重変異体は致死ではなかった.しかしながら,mag5mag5l二重変異体は矮性を示し,花茎の長さも野生型と比べて有意に短いことが明らかになった.また,mag5mag5l二重変異体は稔性も低下しており,莢の長さ,莢に含まれる種子の数が,野生型と比べて有意に小さくなっていた.今後,これらの表現型についてさらに詳細な解析を進めていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の結果から,原形質流動はERESとゴルジ体の接触に必ずしも必要でないことを見出した.また,ERESとゴルジ体の関係にも目立った変化は見られなかったことから,小胞体そのものの動態が重要である可能性が示唆される.SEC16は酵母やハエなどの他の生物種では,生育に必須であるという報告がなされている.興味深いことに植物においては,sec16欠損変異体(mag5mag5l二重変異体)は致死ではなかった.この変異体を用いて,ERESの動態について解析を進めることで,ERES構築におけるSEC16の役割が明らかになると同時に,酵母や動物と植物とのERESの共通点・相違点を明らかにすることが期待できる.以上のことから,おおむね研究は順調に進捗していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
sec16欠損変異体については,ERESマーカーや,ゴルジ体マーカーを導入し,ERESやゴルジ体の形態やダイナミクスに異常が見られるかどうか,また,ERESとゴルジ体に関係に異常が見られるかどうかに着目して観察を行う.この解析を通じて,植物において,SEC16がERESの構築にどのような役割を果たしているか,および,ERESとゴルジ体の接触に関与しているかについて明らかにしていく予定である.また,sec16欠損変異体が稔性の低下を示したことから,ここに着目して詳細な解析を進めていく.正逆交雑や,形態の観察を進め,雌性配偶体や雄性配偶体にどのような異常が見られるかどうか,解析を進めていく予定である.この実験から,ERESの構造が,植物の生理機能にどう関与しているのか明らかにしたい.
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Research Products
(1 results)